第6章 蝶屋敷 2
翌朝、義勇が迎えに来た。
「お世話になりました」光希は昨晩書いた手紙を皆に配りながら挨拶をする。
「光希、またな」
「おう。炭治郎、またな」
「今度会うときは俺は強くなってるからな」
「俺もだ、伊之助」
「光希、元気でね」
「うん、カナヲも」
「光希さん、とにかく無理はいけませんよ」
「……胡蝶さん、気をつけます」
「また来てくださいね」
「光希さん、寂しいです〜」「悲しいです〜」「目の保養だったのに〜」
「あはは、なほ、きよ、すみ、泣かないでくれ。アオイさんも、ありがとうございました」
「……頑張れよ」
「おう」
最後に少し離れたところにいる善逸と別れをして、義勇の側へ走る。
「お待たせしました」
「……もういいのか」
「はい」
「では行くぞ」
義勇が門をくぐる。
光希も付いて屋敷を出る。そこで光希は一度振り返り、「ありがとうございました!皆、大好きだよ!」と叫んだ。一礼した後、手を大きく振り、義勇を追いかけて走っていった。
光希を見送った蝶屋敷の人々は、それぞれの思いを胸に部屋に帰っていった。
善逸は暫く光希の去った門を見ていた。いつも通りの感じで、出発していった光希。もうここに光希は居ない。だが、まだその実感がわかない。
……冨岡って男、やたらと男前じゃねぇか。くそっ
善逸が男子部屋に帰ると、二人は手紙を見ていた。
伊之助は手紙を見て、ほわほわしている。手元を覗き込むと、どんぐりを持ってキリッとしている伊之助の絵が描かれている。
「……お前のこと美化しすぎだろ、これ」
「はぁー?なんだと!よく見ろよ、そっくりじゃねぇか!凄え、あいつ絵が上手いんだなぁ」
炭治郎を見ると、手紙を読みながら何だか顔を赤くしている。
「なんだよ、何書かれてたんだよ」
「あ、いや……えーと……」
手紙を蛇腹にくしゃと閉じて見せないようにする炭治郎。だが、炭治郎からの音でなんとなく内容がわかった善逸。
「カナヲちゃん絡みか……」
「う、うん」
炭治郎への手紙は「カナヲの攻略法」だった。
細かく分析されたカナヲと炭治郎の性格、今後の展開のお勧め方法が赤裸々に書かれていた。