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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第52章 協同逢瀬作戦


翌朝、いつも通り早くに光希は目を覚ます。

絡みついている善逸の手足から抜け出して、米を炊き、部屋で着替える。

準備が整うと居間に行く。


「善逸、善逸。起きろ、お前も鍛錬だぞ」
「う…ううん、……もうちょっと」
「駄目だ。寝ちゃうから。ほら、起きろ」
「……、……すぅー…すぅー…」

寝息が聞こえ始めて溜息をつく光希。
まいったな、と頭をかく。



「…………さて私は今日、どの柱と秘密の鍛錬しよっかな」


小さく呟くと善逸が飛び起きる。

「駄目だっ!!……へ?…なんだ?あれ?」

「ぷっ、ははは。おはよう、善逸」
「おはよ、光希。え、今さ、」

まだ頭が覚醒してない善逸が、眠さと戦いながら頭を整理しようとしている。


「まったくもう……、こんなにおっきくなっても起してもらってるなんて駄目だぞ」

光希は布団に座ったままの善逸を、笑いながら撫でる。


「……別に、ちゃんと起きれるし。お前がいない日も起きてるよ」
「本当かなぁ……」
「本当だいっ!」

「ははは」
「ふんっ」


「俺が居なくても、ちゃんと一人で起きれるようになれよ」


光希が目を細めてそう言ったとき、善逸の眠気がふっと消えた。
半分しか開いてなかった目が見開かれる。


「じゃあ、俺はもう行くね」
「光希っ、」
「ん?」

振り向いた光希の顔はいつも通りで笑っていた。

「あ…のさ、玄関まで……見送る」

善逸がのそりと起き上がる。


「……なあ、誰かと秘密の鍛錬すんのか?」
「あはは、聞こえてた。しないよ」

草履の紐を縛る光希に後ろから声をかける。


「よし、じゃあ、いってきます!」
「……いってらっしゃい」
「善逸も鍛錬頑張ってね」
「うん」

口付けをして抱きしめ合うと、光希は家を出ていった。


顔を洗って台所に行くと、おにぎりが用意されていた。忙しい中作ってくれたことに感謝する。

もぐもぐと食べていると、悲しみがつのる。



「………なあ、一人にしないでよ。ずっと俺を起こし続けてくれよ……毎日さあ」


そう呟くと、『……甘ったれてんじゃねえよ、ばーか!』と光希の声が聞こえた気がした。


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