第51章 休日3
「で、その次が無一郎……ええと、時透さんの所ね」
光希が話を仕切り直す。
「時透……、ああ、前に話聞いた、いけすかない柱な」
「それがさ……」
光希は無一郎の変化を話す。
「だけど、興味のない人間には相変わらずな態度だから、善逸からしたら嫌な奴かもね。しかも……」
「ん?なんかあんのか?」
「うん、なんかさ……、私達のこと勘付かれてね。善逸のこと気に食わないって感じだったから、稽古厳しいかもね」
「なんで俺がそいつから敵視されなきゃいけねえんだよ」
「……それは」
「そいつ、お前のこと好きなんだろ」
善逸が口を尖らせながら言う。
「どうかな。懐かれてはいると思う」
「手も繋いできたんだろ」
「! ……まあね」
「ガキのくせしやがって」
「キレないでよ?喧嘩は駄目だよ」
「お前がそれ言うか?まあ、状況次第だ」
「無一郎、相当強いよ」
「ボコられても別に構わない」
「頑張る分にはいいけど」
「うん、やる気出た」
「それは何よりだよ」
「まあ私が無一郎のことを特別好きになることはないから、そこは安心して」
「特別、じゃなかったら好きなの?」
「好きだよ」
「あらま、あっさり。あんなに嫌ってたのに」
「あはは。過去は過去よ」
けらけらと笑う光希。
「でね、その辺りでやるよ」
「ん?」
「協同逢瀬作戦」
「ああ。ってお前、休めるの?」
「絶対に休む。善逸たちも休ませる」
「職権乱用」
「へっへっへ。いんだよ。いつもこき使われてんだ。使わなくてどうする」
光希は悪い顔をし、善逸は苦笑いをする。
「炭治郎も歩けるようになってきたみたいだし、良い時を見計らって連絡を入れるね。細かいことはその時伝える。直前の連絡になるかもしれないけどよろしくね」
「天気もあるしな」
「確かに!盲点だった。……や、待てよ。雨なら雨でそれは……」
光希はまた考え始める。
おそらく今が最後の機会なのだろうと思う。
こうしてのんびりできる最後の時を、光希は皆で楽しみたがっている。
善逸はそんな彼女を見ながらお茶をすすった。