第51章 休日3
「私、なんだかお婆ちゃんみたい」
背中を擦られながら、光希が笑う。
「光希はきっと、お婆ちゃんになっても可愛いよ」
「ははは、そうかな……」
「年取るまで、ずっと二人で一緒に居ような」
善逸は想いを込めて抱きしめる。
「……………そうなったらいいね」
光希からは想像通りの生返事。
「……、とお!!」
突然、光希が布団から飛び起きる。
「お、おいっ!」
「うぎゃ、いってえ…ひぃ……」
すぐによろめき倒れそうになるところを、慌てて善逸が支える。
「痛いに決まってんだろ、何してんだよ!」
「別になんか大きい怪我したわけじゃないんだから動いた方が治る!気がする!……うぎぎ」
「お前、馬鹿じゃないの。安静にしろよ」
「大丈夫大丈夫。ね?ほら立てた。次は歩ける」
「はあ、もう、お転婆すぎだろ……」
「私は強い!!」
「はいはい」
ギシギシとロボのように歩く光希を善逸が支え、二人で台所に向かった。
誤魔化された。
わかっていたが、善逸は口にしなかった。
どうせ指摘したところではぐらかされる。口で勝てっこない。
仕方ないから誤魔化された振りをしてやる。
……俺の方が兄ちゃんだからな。下の子の我儘には付き合ってやるよ。
でも、死ぬことだけは許さないからな
善逸は、よろよろと歩く光希の肩を力強く支え直した。