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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第49章 休日


「何笑ってんの?」

光希が笑って目線を向けてくる。


「さてな」

はぐらかしながら光希の湯呑に酒を注ぐ。
光希は酒瓶を取り上げ、善逸の湯呑にも注ぐ。


善逸も酒を飲み、「美味いな」と微笑む。



「よかった、善逸が元気になって」
「うん。今日はへこんだからな。はは。あそこで落とし穴に落ちるってよ……ドジ過ぎ」
「だから、気にしなくていいんだって」
「うん。でも、な」

「私もごめんね。へこんだよ」
「ん?」
「皆を殺す作戦を立てたから……」
「……確かにな。でも、鍛錬だから。俺たち三人とも生きてるよ」
「うん。……それでも辛いや」


光希は酒をグビッと飲む。はぁ…と溜息をつく。


「飲め飲め。そのために宇髄さんがくれたんだ」

「うん!そうしよっかな。責任は天元さんに押し付けよう!へへへ!」
「そうだそうだ!」


善逸は、どんどん光希の湯呑に注いでいく。

たまに光希に注いでもらいながら、自分も手酌で飲み進めていく。



「ん?お前と二人で飲むのって、初めてじゃね?」
「そういえば……そうだね」

子どもの頃宿屋で飲んだときも、義勇の家で飲んだときも、桑島慈悟郎と飲んだときも、常に誰か大人と一緒だった。


「まあそりゃそうか。本来なら俺たちまだ飲めねえもんな」
「そうだね」
「俺ら悪いことしてんだな、ははは」
「悪いことすんのは楽しいな。へへへ」

元来悪戯好きの光希が悪い顔して笑う。


「なあ光希。初めて酒飲んだときのこと、覚えてっか?」
「宿屋の宴会な。記憶飛ばしてて覚えてないから、後日談でしか知らないよ」
「俺も俺も!」

「善逸は、女将さんの膝枕で寝てた。それは覚えてる」
「俺は覚えてないのが悔しいぜ。天国なのによ」
「若旦那キレてたぞ」
「次の日殴られたっつの」
「あははは!」

「光希は仲悪い奴と大喧嘩」
「厨房の奴な。ずっと気に食わなかったんだよね」
「大人が止めに入って大変だったんだってな」
「次の日、あいつ顔変形してたな。あはは!」

昔の話で酒が進む。

光希は上機嫌でよく笑っている。
いい感じに酔いが回ってきたようだ。


夜が更けていく。


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