• テキストサイズ

雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第49章 休日


「善逸、そんなに飲んで大丈夫ー?」
「んー……大丈夫だよ」
「そろそろ眠くなってきちゃったんじゃない?ははは。俺、運べねえかあな…転がって寝るなお!」
「お前もだいぶ酔ってんなぁ」
「えへへ、まだまだいける。ふふふ」

光希は頬を染めて、やや呂律が回らなくなってきている。

よろりと立ち上がって伸びをする。


「どした?」
「ほほほ、ちょいとお花詰みへ」

厠へ行った光希。


……今だ!


善逸は光希がいない隙に押し入れから布団を出して部屋に敷く。
布や懐紙を準備し、こっそりと風呂も沸かし直す。


そして何食わぬ顔で縁側に戻り、また酒を注いだ湯呑を持って座って待つ。


『抱き潰せ』

善逸の目が光る。



光希は居間を通って戻ってくる。


「善逸、もう寝るの?」

敷かれた布団に気付いたのだろう。
隣に座る光希が顔でそう聞いてきた。


「……は?冗談だろ?」
「え……?」

善逸は手元の酒をぐっとあおり、光希の後頭部をしっかり押さえて口付ける。


「……んっ、」

そのまま、光希の口内に酒を流し込む。
光希の喉がゴクリと音を鳴らして酒を飲み込む。飲みきれなかった酒が、口の端から溢れる。


「……はぁっ、え、善逸っ、なに、」
「ほら、もっと飲めよ」

また同じように口移して酒を飲ませる。


「や、ちょっと、……んんっ、」

抵抗しようとするが腕に力が入らない。
何度も酒を注ぎ込まれる。


「はぁ、はぁ、……何を」
「飲めよ、もっと」

酒を飲まされすぎて、光希の身体がぐらりとよろめき善逸にもたれかかる。
善逸の肩口から見える、ぼんやりした視界に映るもの。

それは、もう一つの酒瓶。


「……っ、そういう、ことか…くそ…」
「あ、気付いた?流石だね。へへ」

善逸は光希を横抱きに抱えて立ち上がる。足もしっかりしている。


「油断したね、光希。たまには計略にはまってみるのもいいんじゃない?」

にやりと善逸が笑う。
青ざめる光希。


もう一つの酒瓶。

……中身は水か


善逸は光希が注いだ酒以外は水を飲んでいた。


「もう遅いぜ」

善逸は男の顔をして、光希を抱き上げたまま部屋に入っていく。

/ 1083ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp