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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第49章 休日


しばらくすると、鼻歌交じりに光希が風呂から上がってくる。

にこにこと部屋に入って髪を乾かしている。
とてもご機嫌だ。

自分と飲むことを楽しみにしてくれていることが嬉しい。



居間に準備されていたお酒セットを縁側に出す。

隠れ家ではお酒を飲むことを想定していなかったので、どちらも湯呑だ。

自分の湯呑に注いで光希を待つ。



「お待たせー♪」

部屋に入ってきた光希に、縁側から「こっちこっち」と笑顔で呼びかける。歯を見せて笑う善逸に、光希も笑う。


光希がぴょんと縁側に出てくると、善逸は光希の湯呑に注ぐ。


注ぎがながら声をかける。

「月、綺麗だな」
「本当だね。天気がいいからよく見える」

ストンと善逸の隣に光希が座る。
石鹸のいい香りがして、胸が跳ねる。桜の香りだ。

自分からも同じ匂いがしているはずなのに、何故彼女が纏うとこうも華やかに薫るのだろうか。


少し欠けた月が夜空に浮かぶ。


「ほら」

善逸は湯呑を光希に渡す。


「ありがとう」

両手で受け取る光希が可愛い。


「じゃあ……、お疲れ様。光希」
「お疲れ様でした」

二人で湯呑を合わせる。


「美味しっ!!」
「うん、美味いな」

「これは、うっかり飲み過ぎてしまうやつだ……気をつけよ」
「いいじゃん、明日は休みだ」
「駄目だよ、何かあったらどうすんの」
「休みは休まなきゃ。特にお前は」
「うーん……、休むって、どうやるんだっけ?」
「おい……」
「あはは」

光希は月を見上げながら酒を飲む。


「美味し……」

風呂上がりの光希が女の色香を漂わせる。


仕事中の彼女からは想像もつかないその姿にしばし見惚れる。

玄弥が見たらひっくり返るだろうな、と少し笑う。



……この姿を見られるのは俺だけだ。ざあまみろ


誰に対して様を見せるのかさっぱりわからないが、善逸は優越感をもって口元で笑う。


片膝を立てて座りながら、湯呑の中の液体を喉に流し込む。


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