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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第49章 休日


そのまま善逸は家の外で待った。
光希は宇髄と屋内で話をしている。


『ガキだからじゃねえ、弱いからだ』
『炭治郎なら守るぜ、あいつを』

夕焼けに染まり始める空を見ながら、宇髄の言葉を思い出す。


「くそっ……!」

善逸は一人で刀を振り始めた。


……ガキなのは仕方ねえ。でも弱いのは…なんとかできる、はずだ


善逸の素振りが五百を超えた頃、光希が家から出てきた。

「じゃ、天元さん。蜜璃さんと無一郎へ連絡よろしく」
「ああ、心配するな」
「心配はしてないよ。あとは……、」
「もういいから早く帰れ。善逸がずっと待ってんだろが」

光希が善逸に目を向ける。


「あ、いや俺のことは別に、」
「そうだね。お待たせ善逸。ごめん」

光希は善逸の所へ駆け寄る。


「じゃあ帰るよ。何かあったら鴉飛ばして。ありがとう、天元さん」
「これ、持ってけ。今日の礼だ。わざわざ俺のために稽古見に来てくれたんだよな。ありがとうな。愛を感じるぜ」
「あんたの為じゃねえ」
「またまた、照れちゃって」

「酒……?うわっ、諸白じゃん!いいの?」
「ああ」
「宇髄さん、俺たちは……」
「まあいいだろ、飲めるんだろ?お前ら」
「わーい!飲むよっ!でも諸白なら、天元さんたちと一緒に飲みたかったよ」

「俺達とはまた飲もうぜ。今日は…善逸と飲め。月が綺麗だぞ。しっぽりとな」


そう言って宇髄は善逸をじっと見る。
善逸は顔を赤らめて目をそらした。


……あの指令、本気だったのかよ。馬鹿じゃないのこの人


善逸の胸がざわざわとする。



「じゃ、そうしよっかな。ありがとう、天元さん」

光希は酒を肩に担ぎ、「帰ろっか」と善逸に笑いかける。

宇髄に挨拶をして、二人は帰路に付く。


「持つよ、酒」
「いや、大丈夫。善逸の方が疲れてる」
「それ持つくらい平気だよ」
「俺も大丈夫だよ。実は午後はあんまり走ってない…」
「俺が持つの!」

善逸が酒を取り上げる。肩に担いで、空いた手で光希の手を繋ぐ。


「ありがとう」
「うん」

「……お疲れ様、善逸」
「お疲れ様。俺、もっと強くなるからね」
「うん!」

隣を歩く光希が笑う。

この笑顔を守るんだ。


暮れていく道を、二人で手を繋いで歩いた。

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