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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第48章 柱稽古


宇髄が光希をじっと見つめる。


「俺の……、軍師としての鍛錬だ」
「で、やってみてどうだった」
「うん…、そっちはまるで駄目だよ」

光希は力なく笑う。


「これは鍛錬じゃなかったら、俺、絶対に出来ないもん。確信したわ。困ったなぁ」
「……猪と、善逸。完全に捨て駒だもんな」
「玄弥もだよ」

光希は板張りの床を見ながら話す。


「伊之助は特に酷かったな。自分の首を川に捨てさせてるからね。捨て駒中の捨て駒。作戦の為に死んでもらった。
善逸も、初めから捨て身の撹乱兵だよ。玉砕覚悟で走り回らせて敵の数を減らせと指示を出した。
玄弥も、俺につかせて盾とした。力の限り戦わせて、最後は足止めの為に切り捨てて置き去りにした」

「見事だったぜ。お前も、お前の兵も」

「……でも、……出来ねえわ。実践でこれは、絶対に出来ねえ。ずっと思ってたけど、いざやってみると自分に引くわ。はは」

胡座をかいた膝の上に乗せた手が、小刻みに震える。


「改めて、総司令官という恐怖を感じたよ。死ねという指示を出せてしまう。周りの人間が、俺の為に死んでいく……」
「そうだな」
「なあ、辞めていい?」
「いいわけねえだろ」
「あはは、だよね……」

笑っているものの、手の震えは止まらない。


「ふぅー…まあ、弱音吐いてても仕方ないから、考えますかね。作戦を」

「明日はお前も休め」
「んー……どうかな、仕事山積み」
「休め」
「天元さんもね。須磨さんたちもゆっくりさせたげて」
「善逸も休みなんだ。お前も休めよ。抱え込み過ぎだ。疲れてる」

「……悲鳴嶼さんに仕事押し付けてきたんだよ」
「なら押し付けときゃいい」
「駄目だろ」
「いい。あの人体力派手に有り余ってんだ」
「ははは、羨ましい。欲しいわ、それ」


なかなか休むと言わない光希。

宇髄は思案する。


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