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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第48章 柱稽古


「すぐに穴を囲め!」

一瞬唖然としたものの、宇髄は立て直し、二人が落ちた落とし穴を囲ませる。

二人はちゃんと受け身をとったようで、呼吸荒く、上を見上げている。
穴は三メートルくらいの深いものだった。

「…あと、五分……」
「はぁっ、はぁっ、光希、ごめ…はぁ、はぁ、げほっ……」

善逸は立とうとするが、足に力が入らない。


「何をしている!俺はまだ生きてるぞ!奪いに来ないのか!」

穴の中から光希が声をかける。
隊士達はためらう。

まだ、何かあるのかもしれない。



そんな中、一人の隊士が穴に飛びこんだ。


「よお」
「あんたか」

以前共闘した炎の剣士だった。


「痛い思いはさせたくねえ。くれ」
「………」
「時間がねえ。渡さねえなら奪うぞ」


光希は目の前の剣士に対して身構える。
目線を上に移動させて、地上の様子を伺う。


ふぅ…と一つ息を吐いたと思うと、構えを解いて肩の布をしゅるりと外す。そして、布を剣士に渡した。

それを見て、地上で歓声があがる。



「あ、悪いけど、善逸を地上に連れてってくれるか?俺じゃ引っ張りあげられない」
「ん?ああ、いいぜ。我妻、いくぞ。よいしょ」
「す、すみません」
「気にすんな」


炎の剣士が善逸を肩に抱えて地上へ跳ぶ。

光希は自分で跳んで出た。



「よおし!皆、良くやった!今度こそお前らの勝ちだ!!今日はこれで鍛錬はお終い!約束通り明日も休みだ!ゆっくりしろ!」
「うおおーー!!」

「見事な大勝利だ!お疲れ様!解散!!」
「ありがとうございました!!」


隊士たちは喜び叫ぶ。



光希の元に、伊之助と玄弥が駆け寄る。

「伊之助、玄弥、お疲れ様」

「なんでえ、取られちまったのかよ」
「ごめんな、伊之助」
「後半暇だったぜ」
「いやいや、沢山泳いで疲れたろ。怪我ないか?」
「俺を誰だと思ってんだ!」
「流石、山育ち!」

「お前は大丈夫か。落っこちた時、怪我してないか」
「大丈夫だよ、玄弥。ありがとな」
「いや。追撃の手を防ぎきれなくて悪かった」
「何言ってんだ。相当止めてくれた。助かったよ」


そして三人は光希の足元でうずくまり、泣きじゃくっている善逸を見る。


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