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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第48章 柱稽古


「玄弥!」

抜けたという合図を出すと、玄弥も戦いの手を止めて二人に駆け寄る。

光希は振り向きざまにもう一発の煙玉を投げる。



「あと二十分!逃げるぞ!」
「おう!」
「おお!」

三人は山へ向かう。

途中囲まれて、乱戦になり、玄弥が足止めをして光希と善逸を逃がす。



「あと十分!」

また大勢の隊士たちに囲まれて、足を止める二人。
隊士達も息を切らしているが、必死である。なにせ貴重な休みがかかっているのだ。



「はぁ、はぁ、どうするよ、光希……」
「くそ、あと十分なのに……」

善逸は光希を背にかばうように立つ。



『善逸、あれ行くぞ』

小さな声で光希が呟く。


『準備しろ。神速は駄目だぞ』

そう言うと、光希はガクッと膝を付く。



「はぁ、はぁ……」

隊士達が二人ににじりよる。
善逸が光希の傍らで守るように座る。



「ふぅ、よし!降参だ!」

光希が晴れやかな顔で突然そう告げる。


「皆、凄えわ。あと少しだったのに、ちくしょう……悔しいな」
「……流石にこの人数は無謀なんだよ」
「いけると思ったんだけどな……伊之助を失ったのが痛かったな」
「その作戦が、まずかったんだろ」
「ちぇ……」

二人はのろのろと起き上がる。
隊士達も集中を解き、休みという事実に打ち震えた。


「はあ、仕方ねえ。さ、屋敷に帰るぞー」

とことこと歩き出した。



そこへ「待て!動くな!」と声がかかる。

「宇髄……」

……出てきたな

光希が足を止める。持ち上げやすいように、目立たない位置で善逸の背中に手を回す。
善逸が集中を高める。


「お前ら、何してんだ!派手に騙されてんじゃねえよ!」

隊士たちがざわめく。


「そいつは鬼殺隊総司令官、如月光希だぞ!」


「善逸!正面右側!」
「おう!」

善逸は光希を抱えて高速で走り、緩んだ包囲網を突破する。



「ええええーーー!!!」


隊士達が悲鳴を上げた。


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