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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第48章 柱稽古


玄弥と光希は気配を消して身を潜めていた。


「そろそろやばいな。善逸も伊之助も限界だろう。午前中に鬼の宇髄から走らされてるからな」
「まだ二人とも粘ってるみたいだな」
「ああ。川の方と、山奥の方から声が聞こえるもんな」


その時、二人の頭の上で鴉が鳴いた。


「誰かの鴉に見付かった!行くぞ、玄弥!」
「おう!」

二人は山の中を走り出す。


『玄弥は俺の盾になってくれ。俺が取られたら終了だ。まずは二人で逃げるんだ。俺は全速力で逃げるから、付いてこい』

鴉が呼んだのだろう、二人のそばにどんどん隊士が集まる。

「残り三十分切った!玄弥、善逸と合流するぞ!」
「おう!」


『残り時間が少なくなったら、伊之助以外で集合する。伊之助は最終手段を使ったらそこで終了だ』


二人で作った泥団子を投げながら、善逸と合流すべく走っていく。

切り立った崖に行くと黄色い頭が、そこに走り込んでくる。追手はいない。振り切ったようだ。


「光希っ!」
「よし、生きてたか」
「もお疲れたあああ、最悪だよ!同じ呼吸の奴居るし!速いし!」
「あははは!そりゃそうだ!もうひと頑張りだ!」


『最後の三十分は善逸と玄弥で俺を守ってくれ。時間がなくなれば、皆は必ず俺を取りにくる。それしか勝つ方法がなくなるからな。乱闘になる。玄弥はそれまで体力温存。派手に暴れてくれ』

そこへ、誰かの鴉が叫ぶ。


「嘴平が布を川に投げ捨てた!探しているが見つからない!」

伊之助が最終手段を使った。
隊士達がざわめく。


『伊之助、布を取られる前に川に投げ捨てろ』
『え……』
『そうすればお前ら三人の布を取るという勝利条件が消える』
『……お前、それズルじゃん』
『いんだよ。どんな手を使ってもいいんだから。ただし、布は首の代わりだから伊之助はその段階で戦線離脱だ』
『ちぇ……』

『そしたら本格的に攻撃対象が俺に絞られる。最後はそのわかりやすい構図にして戦うぞ』


「ははは!これで俺の布を奪うしかねえぞ!さあ、かかってこい!煙にまいてやるぜ!」


そう叫んだ瞬間、光希が煙玉を投げる。
玄弥と善逸はそれがわかっていたので、すぐに反応する。

玄弥が隊士をなぎ倒しながら力で突破口を開く。
善逸と光希が緩んだ隙から包囲網を突破して走り出る。

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