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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第48章 柱稽古


「よっ!」

黄色い頭を見つけて話しかける光希。


「はぁ、はぁ、んな気軽に話しかけていいのかよ」
「別に、いいよ」
「総司令官殿だろ」
「はは、その挨拶は終わったよ」

「……そうかよ。はぁ、きっつ」
「お前なら楽勝だろ」
「俺は、十五周なの」
「ははは、見込まれてんなぁ!」
「冗談じゃないぜ、どっかでサボるわ」

「まあ、そうしろ」
「いいのかよ。見逃してくれるの?」
「見逃すよ。仲間意識の向上も狙いだ。協力してうまく、サボれよ!」
「お前、……身体は?」
「大丈夫、終わったよ。じゃな!」

そう言うと光希は速度を上げて走っていく、前方にまた知り合い隊士を見つけたのか、話しかける。その隊士と話してる間に、また違う隊士に話しかけられて楽しげに話す。

話すと体力が削られるのに、それを気にせず話し、しんどそうにしてる隊士を励ましながら進んでいく。


走りながら耳を澄ますと「冨岡の寝子」「女か男かもわからん奴のくせに」「どうせ走りきれずに泣くぜ」などの悪口も聞こえる。

善逸はむっとする。でも、そんなことは百も承知で彼女がここにいることを知っているので、何も言わずにひたすら走る。


光希は速度を落とさずに走り続け、九週目に入る。男子に比べても相当速いペースで、皆も宇髄もたまげる。


「ふう、あと二周!」

ぜいぜいと息を切らしながら、光希は速度を少し上げる。

……ここで速度あげるのかよ、足ふらついてるぞ

宇髄は冷や汗を垂らす。


周りの隊士もぎょっとする。
この小さな身体に、どこにそんな体力があるんだ、と。


「負けてたまるかぁー!」

叫びながら走る。
そこに並走するように善逸が走る。

「はぁ、はぁ、善逸、あとどんだけだ!」
「ぜぇ、ぜぇ、お前と、同じだよ!」
「な、くそ、お前十五だろっ!」
「お前より、早く走り始めた、からな!」

二人は周りの隊士を抜きながら走っていく。

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