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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第48章 柱稽古


如月だ、如月光希だ、と隊士達がざわめく。
稽古開始の時に「総司令官、如月光希様の命により、鍛錬を開始する」と宇髄が言ったからである。


そんな中、宇髄が光希に向かって膝を付く。
慌てて、周りの隊士も光希に対して礼をとる。


「総司令官、如月光希様。こちらまで足をお運びいただき、ありがとうございます」
「……ああ。頑張っているようだな」
「は」

光希は顔色を変えずに宇髄にそう言って、隊士たちの方を向く。


「鬼との決戦の時、一人一人の力が必要になる!柱稽古で力を付けて、もっともっと強くなれ!俺たちは、必ず勝つ!!」

総司令官としての光希の声が山に凛と響く。
その場にいた誰もが「うおーーっ!」と声をあげた。


「よおし、お前ら、走れ!気ぃ失うまでだ!」

宇髄がそう言うと、士気の上がった隊士たちは駆けていく。


光希は羽織を脱ぐ。

「天元さん、俺も走る。気ぃ失うまでなんだね。わかりやすくていいや」
「いや、とりあえず十周だ。こいつら、それが出来ねえのよ」
「十周ね。了解。倒れたら誰かに助けてもらうよ」
「つか、お前走るのかよ」
「ああ。稽古しに来たんだから」

光希は身体を軽く動かし始める。

「……まあ、士気下がってどうしようかと思ってたから助かるけどよ」
「日にち的に仕方ない。ダレ始める時期だ」
「それ、わかってて来たのか」
「そだよー」
「俺、愛されてるな」
「そだねー」
「まあ、なんて気のない返事」
「あはは、じゃ走ってくるわ」

光希は隊士の中に駆けていく。


隊士たちがざわつく。

「さあ、俺も一緒に走るから、頑張ろう!皆で鬼の宇髄を驚かしてやろうぜ!」


彼女が走り出したことで、明らかに皆の速度が上がる。

足を止めそうになってた隊士が、走り出す。
倒れ込んでいた隊士が起き上がる。
「頑張れ」「もうちょっとだ」「いけるぞ」前向きで力強い言葉が、彼らの中で生まれ始める。


そんな様子を、満足そうな顔をした宇髄が見つめていた。

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