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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第48章 柱稽古


「ここで二人でぴぃぴぃ泣いてたら、悲鳴嶼さんが慌ててすっとんで来ますね」
「ははは。そうだな」
「で、俺が怒られるんです。輝利哉様を泣かせるな、と。……そしたら庇ってくださいね」
「どうしようかな…怒られる光希を見るのも楽しそうだ」
「おやおや、意地悪ですね」
「あはは」

ふと、心のつかえが軽くなっていることに、輝利哉は気付いてはっとする。


「これが…策略か……」

そう、独り言を呟いた。
にやりと笑みを浮かべる光希。


「さて、なんのことでしょう」

そう言って、金平糖を輝利哉に渡す。
輝利哉は嬉しそうに口に入れる。


「さ、本日はここまでです」
「明日はどれをやる?」
「孫子の続きにしましょうかね。だまし討ちです。兵とは詭道なり、です」
「……ならば、孫子と見せかけて韓非子をやる、ということか?」
「あはは、さてどうでしょう」

何かと思考を巡らす輝利哉に笑みが溢れる。
輝利哉も楽しそうにしている。


「では明日、俺がどこをやるかを推測してください。それを宿題とします。何故そう予測したのかもちゃんと考えて、俺に教えてください」
「わかった!当ててやる!」
「ふふ。では、お疲れ様でした。頭を休めることも大切ですよ。お忘れなきよう」

光希はそっと輝利哉の頭を撫でる。

「失礼します」
「光希、……ありがとう」
「どういたしまして」


退室すると、悲鳴嶼が壁にもたれていた。

「お疲れ様です」
「ああ。お前もな」
「部屋で軍議の続きやりますか」
「……休憩は」
「今、しています」

光希は金平糖を口に放り込む。


「悲鳴嶼さんも要ります?金平糖」
「……いいのか?」
「もちろん。あーん」
「自分で食べる」
「ちぇ」

光希は笑いながら、差し出された悲鳴嶼の大きな手に金平糖を乗せてやる。

「甘いな」
「疲労回復です。薬だと思って」

「……どうだ」
「時間がないので、とりあえず必要最低限のことを伝えています」
「わかった。頼んだ」
「はい。まあ、本人のやる気があるので助かっています。とても優秀ですし」
「それは、先生が良いからだ」

悲鳴嶼が光希の頭を撫でる。


「俺もそう思います」


光希がそう言って笑った。



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