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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第47章 炭治郎


光希は炭治郎の足を見る。

「なーに、折ってんだか……」
「ははは」

「炭治郎。足が治ったら、いくつかお願い事あるんだ」
「墓には連れていけないぞ」
「わかってるよ」

光希は苦笑いする。


「いつなら歩けそう?」
「一週間後くらいかな」
「じゃあ、早くて十日後、かな……」
「え?」
「ふふふ、楽しみだなぁ、炭治郎ちゃん」

「な、何がだ?」

悪い顔をする光希を見て、炭治郎は恐怖を覚える。


「そん時はもう、地獄の稽古が始まってるだろうが、まあいい。サボるぞ。へへへ」
「さっぱりわからない」
「いいんだよ、お前が悪いんだ。この奥手男子」
「奥手……おい、何考えてんだ」


奥手と言われて、流石に何か勘付く炭治郎。
頬を赤くする。


「まあいいや、とっとと足治せ。これじゃ、鍛錬も出来ねえ」

そういって椅子から立ち上がる。


「よし、帰るわ。またな」

「ゆっくりしてけばいいのに」
「ん、ちょっとやることあってな。胡蝶さんとこ行ってくる。じゃあな」


そう言って、光希は部屋を出ていった。




「ふぅ。炭治郎……さっきはありがとな、汲み取ってくれて助かったぜ」
「ああ、墓か。何であんなに止めたんだ?」
「うん……あのな、」

善逸は光希の死支度の事を話した。



「光希は、……軍師か何かになるのか?」
「や…それは本人から聞いてくれよ。俺の一存じゃ話せねえ」
「そうか……何はともあれ、あの子を死なるわけにはいかない。叔父さんや叔母さんに申し訳がたたないし、何より俺が嫌だ」
「だろ」
「墓参りがどこまで効果があるかわからないけど、ないよりマシかもな」
「ああ」

「あとは……善逸がどこまで頑張れるか。光希が死のうとしたときに、善逸の存在でどこまで引き戻せるか、だな」
「難しいな。俺は、あいつにとって一番迷惑をかけてもいい人間なんだ。迷惑も我儘も言える相手だからこそ、俺を残してコロッと死んじまうかも」
「そんな弱気でどうする。頑張れよ」
「……わかってる」
「頼むぞ善逸。俺の、……大事な従兄弟だ」
「ああ」


善逸が頷く。

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