第47章 炭治郎
昨日生家に行ったとき、光希は庭に墓がないか探した。
だが、庭にそれらしいものはなく、女将さんにも墓の場所はわからないと言われたので、持っていった髪はそのまま持ち帰っていた。
光希には、両親のお墓に行って謝りたいという強い願いがある。
自分の髪の毛をそこに埋めて、離れていても一緒にいたいのだと言っていた。
――これだ!これを、心残りにするんだ!
善逸はそう思った。
「お墓?」
「……うん。炭治郎にとっては叔父さんと伯母さんだな。何か覚えてないか?俺たちが五つの時くらいに亡くなってるんだけど」
「叔父さんと叔母さん…五つくらいの時……」
記憶を辿る炭治郎。
「もしかして、あの時かな……」
「!」
「はっきりとは覚えてないんだけど……。
光希が父さんに抱かれてて、母ちゃんが泣いてて、白い箱持ってた。……俺が禰豆子と竹雄の手を繋いで、皆で一緒にうちの墓に行ったんだ」
「それ、……」
「桃色の服の女の子と、最後に会った日なんだ。だから、もしかして、」
「……場所、わかるか?」
「ああ。うちのお墓だから」
「! 教えてくれ、その場所を!」
お墓の有力な手がかりを見つけて、光希は炭治郎に詰め寄る。
「光希!」
善逸がそれを止める。
「……墓参りは、鬼をやっつけた後にしよう」
「なんで?」
「炭治郎、そこ遠いだろ?」
「あ、ああ。山奥でわかりにくいし、俺が一緒に行かないとたぶん行けない……」
「ほら、炭治郎に迷惑かかるぞ」
「……だいたいの場所を教えてくれたら自分で探す。迷惑はかけない」
「駄目だ。これは終わってからにしろ」
「なんでだよ!」
「お前一人じゃ見付けられないからだよ!迷子になって、遭難するぞ!」
光希は怒ってぷいと顔を逸らす。お前の言うことなんて聞くもんか!という主張である。
炭治郎は、善逸からの必死な匂いに気が付く。
じっと彼を見つめると、善逸は音で気付いたのか炭治郎に一瞬だけ目線を向け、駄目だ、と首を横に振る。