第47章 炭治郎
「それでだな、これを踏まえていくつか聞きたいことがあるんだ」
光希が炭治郎に言う。
「炭治郎、竈門家の家系図、見たことあるか?」
「ああ。あるよ」
「そこに、如月の姓はあったか?」
「……いや、なかったと思う。記憶にない」
「そうか。なるほど。……これ見て」
光希は炭治郎から日記を受け取り、代わりに自分の家系図を広げて見せる。
「え、こんなに俺ん家と……」
「そうだ。竈門家とこんなに婚姻を結んでんだ。妙だろ?まるで、血を薄くしないように、と言わんばかりだ」
「……確かにな」
「お前に如月家の血は入ってないが、俺に竈門家の血は相当入ってる。昔から、脈々とね」
「なにか、あるのかな」
「俺もそう思う。竈門家と如月家、両家ともならまだしも、この一方向からの婚姻関係。変だろ」
「うん」
「俺も調べるから、何か思い出したこととかあったら、教えてくれ」
「わかった」
炭治郎は家系図をじっと見つめる。
「俺と光希は……」
許嫁だったのかな、そう言おうとして炭治郎はやめた。
今この空間に、光希の婚約者がいて、自分にも他に想う相手がいる。言うべきではないと判断した。
「……違うよ、炭治郎」
「え?」
「俺が炭治郎の所に嫁にいくことにはならない」
思考を読まれたと、焦る炭治郎。
「俺たちの性別が逆だったら、許嫁だったかもしれないけどな」
「そっか。竈門家が如月家から嫁をもらうことはないから、俺が光希を嫁に迎えることはないのか」
「そう。でもまあ、俺たち相当仲良かったみたいだから、そのまま育ってたらどうなったかわかんないけどね。あはは」
「うおいっ!」
思わず善逸が横から突っ込む。
「あとさ、もうひとつ聞いていいか?」
「ああ、いいぞ」
「俺の両親の墓に、心当たりはないか?」
善逸は息を飲む。
これは、死支度だ。
善逸の匂いが変わって、炭治郎が不思議そうに善逸に目線を向けた。