第46章 生家へ
善逸は書斎で座り込んでぼーっとしていた。
光希と炭治郎が従兄弟同士。
その事実が善逸の全ての感覚を奪う。
自分も光希も身寄りのない天涯孤独なのだと思っていた。
でも、違った。
あいつにはちゃんと居た。しかもそれは、あいつの大好きな相手だった。
たまたま気の合う相手が従兄弟だったのか。
従兄弟だったから気が合っていたのか。
それはわからない。
……俺は、どうしたらいいんだ
善逸は目を閉じる。
『善逸、お前はどう思う』
『考えろ、善逸』
頭の中で光希の声が聞こえる。
最近、光希は善逸に問いかけることが多くなってきた。必然的に、善逸も考える機会が増える。
……どうしたらいいのか、じゃなくて、俺がどうしたいか、ってことか
『しっかりしろっ!ぼーっとすんなっ!頭動かせっ!』
……頭動かしてるよ、必死だよ。ちょっと待ってくれよ
『さあ、善逸君、どっちの鍵で開けますか?』
……俺が鍵なら、俺はきっとサビサビの方だろう。炭治郎がツヤツヤ。でも光希は、迷わず選んでくれるんだ、俺を
あいつはどんな時でも迷わない。ブレない。自分のことは自分で決める
『あなたに決定権をあげます』
………俺に、決定権があるのなら。迷う必要は、ない!俺がどうしたいかは、俺が自分で決める!
大事なのは事実より、それを踏まえて自分がどうしたいか、なんじゃないのか。
善逸は立ち上がって窓を閉める。
一階に降りて開けてた窓を全て閉め、玄関の鍵をかける。