第46章 生家へ
しばらくすると光希が書斎に戻ってくる。
「家系図で確認した。ほれ」
光希が広げた家系図には、母親の姓で竈門としっかり表記されていた。
見ると如月家は、これまで何度も竈門一族と婚姻を結んでおり、強い血縁なのだとわかる。
もしかすると炭治郎と光希も、両家の間でほぼ許嫁状態だったのかもしれない。そうでなければ、炭治郎の家である山奥に、幼子を連れてそう何度も足を運ぶとは思えない。
「間違いなさそうだな……」
「うん。いや、驚いた」
「……だな」
「まあ、でも、嬉しいな。俺、まだ血縁居たんだな。はは」
善逸は口を、一文字に結ぶ。
光希は嬉しそうに家系図を見ている。
「……良かったな」
その声で、ようやく善逸の変化に気付く光希。
「善逸……?」
「お前と炭治郎、お似合いだよ」
「え?何、言ってんだ……?」
「兄弟は無理でも、従兄弟なら結婚だってできるもんな」
「何が言いたいの」
「お前ら、妙に仲良いと思ってたよ。そうかよ、血縁かよ。そりゃ、こっちには入り込めねえ強い絆だわ。そっかそっか、逆に今までのお前らの言動に納得するよ」
「…………」
「俺やカナヲちゃんに遠慮することないよ」
「本気で言ってるの?そう、思ってるの?」
「ああ」
「……そっか。わかったよ。付いてきてくれてありがとな。あと、ごめんな。俺の態度でお前を傷付けたんだな、きっと」
光希は家系図をたたみ、日記を持つ。
「俺、もう帰るから」
「…………」
「はい、これ」
ツヤツヤの鍵を渡す。
「取られるもんもないと思うけど、鍵かけといて。二本あってよかった」
善逸は俯いたまま鍵を受け取らない。
それを見て光希は、善逸の隊服の胸ポケットに鍵を入れる。
「……善逸、俺は炭治郎とは結婚しないよ」
「…………」
「例え善逸が…俺から離れていってもね」
「…………」
「俺が選んだのは善逸だよ。血縁とか関係ないでしょ」
「…………」
「暗くなるまでに帰りなよ」
光希は善逸に声をかけるが、返事がない。
仕方なく、光希は家を出る。