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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第6章 蝶屋敷 2


「光希さん、いいのですか?」
「はい。俺は強くなりたいんです。那田蜘蛛山で冨岡さんの剣を見たときに思いました。こうなりたいって。あの時、弱い俺は冨岡さんに仲間を託すしかなかった。あんな思いを、もう、俺はしたくない」

腿の上に置いた手をぎゅっと握る。

「修行頑張ります。よろしくお願いします」

光希は再び頭を下げ、しのぶは溜息をつく。


「冨岡さん。光希さんは女性です。くれぐれも、よろしくお願いしますよ」
「お前、女か。…ならば月に三日だけ休みをやる」
「ありがとうございます」

義勇は立ち上がった。

「明日迎えにくる。準備をしておけ」
「はい」

そう言い残して帰っていった。

「まあ、冨岡さんは悪い人ではないのですが……」
「でしょうね」

「継子でないということは、修行が終わったらどうなるのかわかりませんし、冨岡さんが何を考えているのか私には理解不能なのですが……。面倒って…あり得ないです本当にあの人……」
「はは、怒らないでください、胡蝶さん。怖いです。俺も継子とかよくわからないんで、気にしてないです」
「ですが……」
「修行のその先、とか本当に俺もどうでもいいんです。俺は今より強くなりたい。それだけなんで。冨岡さんから吸収して、強くなります」

光希はにこっと笑う。

「光希さんは前向きですね。羨ましいです」
「そうですか?俺は美しくて強い胡蝶さんが羨ましいです」
「修行、頑張ってくださいね」
「はい。お世話になりました」

光希はしのぶにお辞儀をして、部屋を出た。


心配しているだろう男子に会いに行く。

「光希!」

扉を開けると炭治郎が飛び出してきた。

「何だったんだ?どうしたんだ?」

心配顔で詰め寄る炭治郎。伊之助も近寄ってくる。
善逸はこちらを見ようとせずにぷいっと外を見ている。……善逸には聞こえてたか、と思う。


「冨岡さんが来てな。俺、冨岡さんの所で修行することになった」
「え!それって凄くないか?」
「冨岡って誰だ!お前、そいつん所行くのか!」
「冨岡さんは伊之助が半々羽織って呼んでた人だ、ほら那田蜘蛛山の」
「ああ、あいつか。あいつはつえぇ!あいつんとこ行くのか、お前」


「ああ。だから皆とは、……会えなくなる」

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