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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第6章 蝶屋敷 2


それから数日後。
平和な日々は突然終わりを告げた。

「ここに、逆転の呼吸を使う者がいると聞いた」
そう言って、蝶屋敷に冨岡義勇が現れた。

しのぶに呼ばれ、客間に連れて行かれる光希。なにやら不穏な空気に、男子たちも落ち着かない様子だ。


「お前か」
「あ、貴方は!那田蜘蛛山では助けていただき、ありがとうございました。お礼をしたいと思っておりましたので嬉しいです」
「そうか」
「如月光希と申します。あの…今日は俺に何かご用でしょうか……?」
「逆転の呼吸を使うそうだな」
「逆転…?いえ俺は水の呼吸です」
「違う」
「?」

「光希さん、逆転の呼吸とは、逆回転の技で仲間の技の威力を高めるもののことですよ」

言葉の少ない義勇に代わり、同席しているしのぶが説明をする。

「ああ!それですか。はい。俺の技は全て反対回りです。仲間と共同で放つと、うまく合えば強くなりました」
「それだ」
「それが、何か…?」
「お前を鍛える」
「?」

「光希さん。逆転の呼吸を使える者は滅多にいないのですよ。冨岡さんは、貴方を育てたいとおっしゃっています。どうしますか?」

まるで義勇の通訳のようなしのぶ。

「どうって、…えと、俺が冨岡さんの元で修行をさせてもらえるということですか?」
「そうだ。水の呼吸を使う俺が適任だろう」

「冨岡さん、一つ確認なのですが。光希さんを『継子』にする、ということでよろしいのですよね?」
「継子にはしない。面倒だ」
「……それは、無責任なのでは」
「責任などどうでもいい。俺はこいつを使える隊士に育てる。それだけだ」
「育てて、その後どうなさるのです」
「知らん」

柱のピリつく感じに、生きた心地がしない光希。

「光希さん、修行はどこでもできますよ。無理に冨岡さんに付いていかなくてもいいんですからね」

青筋を浮かべた笑顔のしのぶが光希に話す。
暗に、断われと言われているようだった。


しかし光希は、
「喜んでお受けいたします」と深々と頭を下げた。


聞き耳を立てていた善逸は、何も考えられなくなった。
光希が自分から離れていく。
手が冷えるのを感じた。

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