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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第46章 生家へ


家の中は埃っぽくて流石長期間放置されてただけのことはある。
二人は直ぐに窓を開けた。
昼の光が差し込んで、埃がきらきらと光る。

挨拶をしてから入ったからか、怖くはなかった。


「どう?覚えてる?」
「んーなんとなくね。あっちが台所、二階が書斎と寝室……かな」

光希は家の中をあちこち歩き回る。

「あ、このお人形、お気に入りだった!」
「この髪留め、欲しくて凄く泣いた気がする」

いくつか見覚えのあるものを手に取り、だんだんと記憶が戻っていく光希。
光希の持ち物は皆、凄く女の子らしいものばかりで、今の感じとかけ離れていて面白かった。

「いやあ、環境で人は変わるもんだなぁ」
「本当だね。持ち物全部桃色だわ。あはは」


光希は二階へ上がり、書斎の窓を開ける。
風が吹き込んできて、机の上の本が倒れた。


「おっと……」

下に落ちそうになるところを光希が受け止める。

劣化の激しい本は衝撃でばらばらになってしまうこともあるからだ。


「ん?日記…かな?」

受け止めた日記をぱらぱらとめくる。
善逸は、書斎を見回している。


「家系図ってどこにあんだ?書斎にもそれらしいものはないな…金庫とか?いや、金庫には入れねえか……」

善逸がそう言っても、光希からの返事がない。


「光希?聞いてる?」

善逸が光希を見ると、彼女は手元の本を見ながら固まっていた。

大きな目を、零れ落ちそうなくらいに見開いて、驚きの表情をしている。


「ど、どうした光希!」

善逸も光希の様子に驚いて彼女の側に駆け寄る。


「………母様の旧姓が、わかったよ」
「え……」



「竈門、だ」


「え……」
「俺、…………炭治郎の従兄弟、だ」


本を見たまま、光希が呟いた。



善逸の背中が、ゾクリと震えた。


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