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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第46章 生家へ


「この部屋……、掃除の時、まず換気しないと白粉や香水の匂いで吐きそうだったな……」
「料理片付ける時もさ、殆ど残ってるときとかあって、嫌だったね」

光希は背中から刀を出して床に起き、畳の上にころんと寝転がる。


「安心しろ。今夜は俺達が綺麗に使ってやるから」

天井を見ながら、あははと笑う。

善逸も刀を床に置き、そんな光希の上に覆い被さる。


「本当に汚さず綺麗に使えるかな?」

にやりと笑う。


「掃除する人のこと考えれば当然だ」

光希も笑い返す。


「じゃあ、頑張らないと……」

善逸が顔を近付けながら、ピタリと動きを止める。


瞬間、バッと離れる二人。
刀を机の下に隠す。


「失礼して、よろしいでしょうか」

声がかかり「はい、どうぞ」と何食わぬ顔で返事をする。


「お食事はいかがなさいますか」

年下と思われる可愛らしい女の子で、二人が知らない子だった。


「あ……どうしよ、もう食べるか?」
「そうだね。明日早くから動きたいし」

「じゃあ、もう食べます。お願いします」
「あ、一食分はかなり少なめでお願いします」

なんなら自分でよそいたいと思う光希だった。


「かしこまりました。今しばらくお待ちください」

女の子は下がっていった。
ふう、と一息つく。


「……危ねえ」
「見境なくのしかかってくるから」
「つい……」

「知らない子だったね」
「だな。俺ら居なくなって雇ったのかな」
「かもね。なんであの子は女の子のままで仕事してんだろ。俺は男になってたのに」
「女の子っぽい子だからじゃね?」
「…………」
「いや、お前も可愛らしかったけどよ」


「……まあ、大旦那が居ないから、だろうな」

光希が少し寂しそうな顔をする。


「でも、思えば俺の男装意味なかったんじゃねえのか?結局手ぇ出されててよ。ま、いいけど」

「意味はあったぜ」
「ん?」
「俺が、お前に手ぇ出さなかった」
「あ、ここに騙されてた奴がいたんだった」
「お陰で仲良くなれたもんな。俺とお前。だから今があるんだ。男と女だったら別室にされてただろうし」
「確かに」
「だから、いんだよ」
「……だな」

二人でへへへと笑う。


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