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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第46章 生家へ


「あ、潰れてなかった」
「おお、懐かしい」

経営不振で潰れてたりして、と道中笑いながら歩いてきた二人。
宿屋は立派に建っていた。


「?……なんか違う?」
「垣根が変わった、か?あと、灯籠が…減ったかな?」
「凄いな、善逸」

二年程で少しは変わったようだ。


「行こっか」
「おう」

少しの緊張と、気恥ずかしさと、バツの悪さと……いろいろな想いを抱えて、二人は入り口をくぐる。


「いらっしゃいませ」

女中が声をかける。
もちろん知り合いだ。

「……あら?」
「…ども」
「ご無沙汰してます」

速攻で気付かれた。
まあ、そうだわな、と二人は苦笑いする。


「光希…と、あんた善逸?何、その頭」
「や……いろいろありまして、はは」

「光希は……、こりゃまたいい男になったわねえ!」
「あ…はは……ども」

そう。光希はここでは男として過ごしてきたので、女ということは若旦那と女将くらいしか知らないのだろう。


「ちょっと待ってて、皆呼んでくるから!」

「いい!いい!呼ばないでくださいっ。俺達、仕事で近くに来たから、寄っただけなんです。大ごとにしないでくださいっ!」

善逸が慌てて女中を引き止める。


「泊まるの?」
「はい、一番いい部屋空いてます?」
「胡蝶蘭?本気で言ってるの?いくらか知ってるでしょ?」
「本気です。はい」

善逸が家用の財布から宿代を払う。


「あらま、驚いた。あんたたち、なんの仕事してんのよ……」
「用心棒……みたいな?」

「まあいいわ。毎度あり!二名様、胡蝶蘭の間、ご案内ー!」
「わぁ、静かにでいいです!案内無くても行けるから!ほっといてください!」


二人は慌てて、そそくさと胡蝶蘭の間へ行く。


「あはははっ!」
「はぁ、無駄に緊張したぜ。あははは」

部屋につくと笑い出す二人。


「八重さん、大声出すんだもん。困っちゃう」
「まあ、胡蝶蘭だもんな。出したくもなるよな」
「上客だもんね」

「相変わらず無駄に広いな、ここ」
「どっかの偉いさんが愛人連れて泊まるところだよね」

障子を開けて庭を見る。
庭のむこうに、離れ屋が見える。
暗いので、今は使われていないのかもしれない。


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