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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第46章 生家へ


「はぁ、はぁ、ここ、か?」

和洋折衷建築で建てられた家があった。
ブロック塀と庭のある大きな家で、手入れされてない庭は荒れ放題だ。

とりあえず取り壊されてなくてほっとする。

「なんだか、立派な家だな」

善逸がそう言って見上げていると、光希は門をくぐってきょろきょろし始める。


「お、おい、光希、勝手に入るなよ。誰かの家だったら……」
「いや、ここだ。間違いないよ。覚えてる。この門、この庭、あっちが、」

そのまま追い立てられるように庭をどんどん進んでいく光希を、慌てて善逸が追いかける。


「待てよ!」

善逸は光希の腕を引く。


「光希、落ち着け。一緒に行こう。……ね?」

光希は我に帰る。
気付くと、両手が震えていた。呼吸も浅い。


「……あ、ありがとう、善逸」
「うん」

善逸は光希の手を握る。
一瞬、彼女がどこかへ行ってしまいそうに思った。

光希は自分を落ち着けるために、何度か深く呼吸をする。


庭を通り、玄関の前に立つ。
扉には鍵がかかっている。


「……そりゃそうだ。裏口を探すか」

善逸がそう話しかけると、光希は玄関の前で何か考えている。

「……『お家の鍵はね、…お椅子の下よ』」
「光希?」
「椅子の下だ。周りに椅子、ないか?」

光希は周りを見渡す。
お椅子の下、とぶつぶつと繰り返している。
しかし、庭に椅子がない。

「椅子、どけられちまったのかなぁ」
「そうだね。うーん……」

二人で手を繋いで庭を歩いていると、ふと光希が足を止める。

周りを見て、「ここだ…」と呟く。

「ここに長椅子が、あった。よく母様と二人で並んで座ってた」

よく見ると地面に四つの凹みがある。かつて椅子が置かれていた可能性が高い。


木の枝で地面を掘ると鍵が出てきた。

「あった……」
「おお……流石だな」
「覚えてるもんだね」

鍵穴に刺してみると、カチャリと音を立てて鍵が開く。
引き戸をぐっと引くと、メリメリと十年開かれて無かった扉が開く。

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