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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第45章 訪問者


善逸は光希の行動に、驚くやら照れくさいやらで心が追いつかずに慌てる。


「お、おい光希」
「あんたも早く家帰れ」
「お前ら、ガキのくせに……」

「ガキはガキなりに、精一杯人を愛してんだよ」

光希は善逸にしがみついたまま、べーっと舌を出す。


「はいはい、帰りますよ」
「雛鶴さん、まきをさん、須磨さんによろしくね」
「おう」

宇髄は立ち上がって玄関へ行く。


「邪魔したな」
「うん、邪魔された」
「このやろ……向こうでは俺にべったりのくせに」
「まあ……頼りにはしてるよ」
「また来てやる」
「来ないでくれ」

宇髄は善逸を見る。


「善逸、ちょっと来い」
「え?俺ですか?」
「……善逸に何の用?」
「いいから外に来い。ちょっと借りるわ」
「すぐに返してよ。虐めんなよ」
「はは、光希、大丈夫だよ。ちょっと行ってくるね」


宇髄と善逸は、心配顔の光希を置いて二人で隠れ家を出ていく。

少し離れた所で宇髄が振り返る。


「光希に、死支度をさせるな」
「え?」

「あいつは今、皆に死支度をさせている。戦いにむけて、思い残す事のないように…ってな」
「そうなんですね」
「皆には、生き残るための支度だと言っている。あいつの性格からしてそれは本心だろう。……だが、あいつが自分のためにしてることは、文字通りの死支度なんだと俺は思う」

宇髄が整った顔をゆがめる。


「あいつが戦闘で死ぬのなら、それは仕方ねえ。皆、命懸けで戦うんだからな。……でもあいつは、違う理由でも死にかねない。責任感が強すぎる。そして、優しすぎる。戦闘後、自刃するつもりだろう」
「俺もそれを心配しています」
「そうか。なら、わかるな」

「はい。あいつに……心残りを作ります」

「そうだ。案外馬鹿じゃねえのか、お前」
「皆が思ってるより賢いつもりです」


宇髄が満足そうに笑った。


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