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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第45章 訪問者


「用件は?」
「輝利哉様だ」

光希の空気が変わる。

「輝利哉様に、何か?」

「いや、本だ」
「ああ、なんだ。びっくりした」

ほっとする光希。


「読めたのか」
「いや、半分ほどだそうだ」
「ふーん、三日で半分か。まあまあかな。で?」
「わからないところが多くて、お前に教えてほしいそうだ」
「……なるほど」
「どうする?」

「駄目だ。まずは一人で全部読ませてくれ」
「やっぱりな。鬼め」
「全く意味がわからなくてもいい。最後まで一人で一度通読するんだ。そしたら、いくつかわかるようになるから。そう伝えて」
「途中で挫折したら?」
「それまでだ」

「まだ八歳だぞ」
「読み書きが出来ればいけるだろ。内容を理解しろとは言ってない。泣きながらでも読め。当主になるんだ甘えんなっつっといて」

光希は表情を変えない。


「読み終わったら本格的に俺が教える。今後の軍議にも参加させたい。可能かな?」
「可能だろ」

「よし。まあ、小さい子にあまり負担をかけたくないけどね……」
「兵法書二十冊くらい押し付けといて何言ってんだお前」
「ははは。あの子なら出来るよ」

光希がやっと表情を緩める。


「頑張らせることが大事なんだ。頑張れば、当主としての責任感が産まれる。それが狙い。習熟度はまあ、どちらでも。……どのみち、戦闘の指揮も責任も全部、最終的には俺がとるんだ」
「俺が半分持つぜ」
「そっか、ありがと。よし、では三分のニ、あんたにやろう。遠慮すんな」

光希はお茶を一口飲む。


「話は終わり?」
「ああ」
「お疲れ様でした。帰って」
「なんだよ、ゆっくりさせろよ」
「輝利哉様にそのこと伝えたら、あんたも帰宅しろ」
「へいへい」

宇髄は善逸を見つめる。


「ちゃんと、支えてるみたいだな」
「……?」
「光希が驚くほどに落ち着いてる」
「そうですか?」


「何言ってんの天元さん。当たり前じゃん。俺、向こうにいるときずっと言ってたろ?」

光希は見せつけるように善逸の首に抱きつく。


「俺、善逸が居ないと駄目だって」


そのまま善逸の頬に口付けをする。

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