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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第45章 訪問者


「……手紙、返せよ」
「ほらよ」

万一の為に渡しておいた、ここの住所を書いた手紙は糊付けされたままだった。これを開封して調べたわけでは無いとわかる。

「鴉か……」
「ご明察」
「俺の鴉くんに何かしてねえだろうな」
「んなことしなくたって、ここを調べる手はあんだよ。舐めんな」


光希も草履を脱いであがる。


「天元さん、悪いが、ここには客間はねえんだ。来客を想定してないんでな。とりあえず、居間に来て」

「光希、俺お茶いれるよ」
「いいよ、この人自分の飲み物しか飲まないんだ。忍びだから」
「じゃあ、光希の分だけ」
「ありがとう。なら、善逸の分と二つね。……文句ないよね?天元さん」
「ここは善逸の家だろ、当然だ」

同席を認められた善逸は、お茶の準備をして居間へ向かう。と、既に喧嘩状態で少し引いた。


「なんで来るかな、本当。空気読めよ」
「いっちょ前に広いんだな、お前らの愛の巣はよ。ガキのくせしやがってよ」
「あんたに関係ないだろ」
「冨岡も冨岡なんだよ、派手に甘やかしやがって」
「義勇さんの悪口言うんじゃねえ!」


……入りづれえわ


部屋の前で佇んでいると、からりと戸が開いて「ありがと」と光希がお盆を受け取る。

受け取った茶器で、黙ってお茶を湯呑にいれて善逸の横に置く。


「へえ……お前が来たらこいつもおとなしくなんのね。こんな姿そうそう見ねえぜ。女の子してるんだな。衝撃だぜ」
「………」
「いや、俺といてもあんな感じですよ」
「はは、嘘付け」

宇髄は、庭に干されている布団を見る。
顔を赤らめる善逸と、表情を変えない光希。


「あんた、家に帰んなかったのかよ……」
「まあ、な。雑務があってよ」

宇髄は頭を掻く。


「隙間を見つけて帰ってくれよ」
「ああ」
「絶対だぞ」
「柱稽古の準備もあるし、帰るよ」
「ならいいけどさ…」

光希が心配そうに宇髄を見つめる。


「おいおい、ガキに心配される程、我が家は危機的状況じゃねえよ」

宇髄は笑う。

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