第44章 補充※
少しすると光希が部屋に戻ってきた。
「大丈夫か?」
「ん……猛烈に眠い」
「寝よう」
「うん……」
光希はオイルランプを机に置き、布団に転がる。
「善逸……来て、こっちのお布団…」
「うん」
どのみち善逸の布団は濡れているので、善逸はそのつもりでいた。それをあまり理解してない光希が手を伸ばす。
布団に入ってきた善逸に、ぎゅうっと抱きつく。
「えへへ……あー…安心する」
「まだ、補給するの?」
「まだ足りない。全然足りない。くっついてないと駄目」
「……上からも下からも入れたのに?俺、枯れちゃうよ?おかわりするのかな?」
善逸がそう言って、笑いながら光希を抱きしめる。
「……そうね、お腹一杯かも。もういいや。ごちそうさま」
「ごめんごめん、嘘だよっ。補給して」
善逸の腕の中から、くすくすと笑い声が聞こえる。善逸も、ふふっと笑う。
「ありがと、善逸。我儘ばっかでごめん」
「謝ることなんて何もないよ。少しでも俺が光希の助けになるなら、俺は何でもする」
「少しどころじゃない。善逸が居ないと、無理だ。何もかも。最近はそれを痛感してばかり」
「そっか。……無理するなよ。って、それが無理だよな、お前は」
「まあ……そうだね。でも、こうして帰ってきて、補給してくから。そしたらまた、頑張れるよ」
「うん。どんどん持ってけ。好きなだけ」
善逸は光希の頭を優しく撫でる。
「優しいなあ……、善…私の旦那様は」
「ふふ、優しいだろ。だから、安心して寝て。俺の大切なお嫁さん」
「はい…おやすみなさい……」
「おやすみ」
光希はすぐに眠りについた。
猫のように善逸に身体を寄せ、幸せそうに微笑んでいる。