第44章 補充※
「俺も帰るよ、あいつん所に。早く帰ってやんねえと、また拗ねて悪いことすんだ、あいつ」
「あいつな…冗談は顔だけにしとけってんだよなあ」
「本当だよ。じゃ、また稽古の時に」
「ああ、またな」
宇髄は去っていった。
ふぅ…と一息ついて、光希も帰り支度をする。
隠れ家
蝶屋敷
冨岡邸
さあ、どこに帰ろうか。
どこの家にも大切な人が居る。
自分はなんて幸せなんだろう。
いやでもやっぱりここは隠れ家かな。善逸は蝶屋敷かもしれないけど。一番ゆっくりできるのは、隠れ家だ。
光希は鴉を呼んで、山を走り始めた。
この怒涛の数日間、とにかく疲れた。
精神的にくたくただ。
でも、足を動かす。疲れでうまく息が吸えない。でも、帰るんだ、早く。ひたすら走る。酸欠で目の周りが白む。
……会いたい、早く、あいつに
隠れ家に着き、玄関に倒れ込む。
善逸が居るのかどうかも確認できないまま、そのまま眠った。
安心できる匂いの中、ここ数日張り詰めていた気を緩めて光希は深く眠る。
買い出しから帰ってきた善逸は、玄関でぶっ倒れてる光希を見て悲鳴をあげ、その声で光希は目を覚ました。