第43章 覚悟 2

不死川が帰ろうとする義勇を止める。

「おい待て、それぞれの今後の立ち回りも決めねえとならねえだろうが」
「六人と光希で話し合うといい。俺には関係ない」

伊黒やしのぶも説明を求めるが、「俺には関係ない」と帰ろうとする。

不死川がキレて追いかけようとする。
そこへ静かに光希が声をかける。


「義勇さん、俺の師匠として、ここに居てくださいよ。師匠は弟子を見守らなきゃ」
「…………」
「俺、初の柱合会議で、怖くて震えちゃって。ね？そばにいてくださいよ」
「嘘付け」
「本当本当。その証拠にここまで一言も喋ってないでしょ？」
「それはお前が様子を伺っていたからだろう」
「さあね。ほら、座ってください」

「………」

黙って出ていこうとする義勇。

「テメッ……」
「仕方ありませんね、悲鳴嶼さん」

光希が声をかけると、パアンと悲鳴嶼が手を打ち鳴らし、ビリビリと衝撃が走る。


「座れ……、話を進める。総司令官から、一つ、提案がある」

「ね、座ってください、義勇さん」

しぶしぶ光希の隣に座る義勇。


上座下座が嫌いな光希は皆を円にして話をする。柱稽古の提案だ。

稽古の狙い等をわかりやすく説明していく。途中で出される柱からの意見を決して否定せず、可能な限り拾い上げていく形で会議を進める光希。気付くと皆、しっかりと光希の話を聞いている。

その見事さに、宇髄は舌を巻いた。


柱稽古は一人を除いて、好意的に受け入れられた。

「俺は、やらない」
「義勇さん……」

立ち上がる義勇。帰ろうと背を向ける。

「おい、テメェ、いい加減にしろよォ」
「実弥さん、いいですよ」
「でもよォ！」
「いいんです。ありがとうございます」
「チッ……」

「義勇さん、話聞いてくれてありがとうございました。お疲れ様でした」
「いいのか、このまま帰して」
「構いません」

義勇は廊下を歩いて去っていく。


「あとは…胡蝶さん」
「はい」
「あなたは別任務がありますよね」
「…はい」
「柱稽古は抜けていただいて大丈夫です。そちらの任務を優先させてください。あ、可能でしたら継子は稽古に参加させてくださいね」
「了解しました」
「お疲れ様でした」
「はい、失礼します」


しのぶも帰し、無言で義勇のフォローを頼む。