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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第43章 覚悟 2


光希は口を尖らせる。

これは、こちらが折れるまで続くだろう。命令でやめさせることは出来るが、それだとせっかくの信頼関係が主従関係になってしまう。


「……もう、あんたが総司令官でいいんじゃねえか。十分策士だろ」
「早くも降参か」
「ああ、降参だよ。……うぅ、寒気がするわ」
「はい、かしこまりました」

宇髄は光希を抱きしめる。

「お、おい!やめろ!」
「はぁ?寒いっつったろ」
「違えよ……」
「いいから、……大丈夫だから。ここをお前の逃げ場にしろ」

宇髄は光希の背中をぽんぽんと優しく叩く。


「……俺の逃げ場は愛する男の腕の中だって言ったろ。ここじゃねえ」
「あいつはここに居ねえだろ。その間に潰れたら元も子もねえ」
「だからって……」
「緊急避難所だ。隠れ蓑にもなってやる。いつでも逃げてこい」

宇髄はそっと腕を離す。
光希は怪訝そうに眉をひそめている。


「大丈夫だ。俺はお前に恋心は抱かねえ。大人だからな。安心しろ」
「………ならいいけど」
「倒れる前にちゃんと来い。一人で抱え込むな。お前の覚悟は、……派手にでか過ぎる。周りを頼れ」
「わかった。最終手段として取っておくよ」

そう言いながら、光希はさり気なく宇髄から距離をとる。


「……警戒すんなよ」

「するわっ!力じゃ勝てねえんだよ俺は!」
「じゃあ、短刀でも忍ばせときゃいいだろが!」
「刺せるわけねえだろ、あんたを!」
「その前に俺がお前を襲うわけねえだろ!」

「抱きしめといて何言ってんだ、変態!」

そのウブな反応に笑いを噛み殺す宇髄。


「抱きしめられたくらいで何言ってんの、お前。ガキだなぁ」
「んだよっ!」
「ははぁ、経験ないのお前。善逸はもたもたしてんだな」

言い返そうと口を開き、すぐ口を閉じる光希。


「おお、誘導にも乗らない。流石だな」
「当たり前だ。そんな陳腐な口車にこの俺が乗るわけないだろ」

「俺に隠し事はしないんじゃなかったのか?」
「言う必要のないことは言わねえよ!」
「必要あるぜ。初めてかどうかでやり方が変わるからなあ」

「……人選、間違えたか」

軽蔑の眼差しで宇髄を見る光希。
楽しそうに笑う宇髄。


夜が更けてきたので、宇髄は部屋から追い出された。


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