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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第43章 覚悟 2


お互い、探り合いながら見つめ合う。

「……言葉戻してくんねえの?」
「仲良し期間は終わりました」
「時透にはすんなり変えたのに」
「あの子は年下です。あなたは八っつも年上なんですよ。あんな舐めた口聞けませんよ」

光希は苦笑いをする。

「策略のなかで築いた信頼関係は、本物になるのか」
「なります。策略であっても、俺は三日間、真実の俺であなたに接してきました。弱い部分も全部見せた。質問にも嘘偽りなく全て答えた。……思いの外、楽しかったよ」

光希は笑顔を見せる。
嘘のない笑顔だった。三日の間、何度も見た顔だ。

「俺も楽しかったぜ」
「それは良かったです」
「子守りもたまにはいいもんだ」
「…それは聞き捨てならない」


「あーあ、初日に口付けされときゃよかったぜ」
「残念でした」
「先読みが甘かった。お前がこんなに、俺のお気に入りになるとはな」
「………」
「大丈夫だよ。お気に入り、で止めとくから」
「是非」
「ガキに本気になるか、ばーか」

宇髄が光希の頭にぽんと手を置く。


「お前の覚悟も見せてもらったぜ。総司令官として、やると決めたらなりふり構わず遂行するところもな」


そして宇髄は光希に対して礼をとる。

「命を賭して貴女にお仕えいたします。如月光希様」
「……ちょっと」

顔を引つらせる光希。 

「何か?」
「いや、……くそっ、そうきたか」
「お顔の色が優れませんが。どうかなさいましたか」

「……やめてください」
「何故でしょうか。俺は貴女の駒でございますゆえ。光希様」
「宇髄さん」
「はい、光希様」


……こいつ、わかってやってやがる


光希は頭を抱えてうなだれた。

この三日間で彼女が嫌がることをしっかりと把握し、そこを的確に突いてくる宇髄。

忠誠を語るその顔は真面目そのものだが、彼が内心では大爆笑していることが容易に想像できる。

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