第6章 蝶屋敷 2
光希はカナヲを速さのみで捕まえられるようになり、攻守を逆にして光希が逃げる方もやっていた。
薬湯ぶっかけも勝率が上がってきた。
しかし、炭治郎は負け続けた。
落ち込む炭治郎。光希もかける言葉が見つからない。
そこへ、なほきよすみの三人が炭治郎に手拭いを持ってきた。
そして全集中・常中の話を聞いた。光希の中でカナヲの強さがようやくわかった。
「光希さんは、ほぼ出来ています。そうでなければカナヲさんを捕まえられません」
「そうなのか?光希、これ知ってたのか?」
「いや、知らなかった。でも、呼吸を使える時間を伸ばそうと思ってここへ来てからずっと訓練はしていた。初めは怪我を治すためにだったけど」
「そうだったのか」
それから、炭治郎と光希は全集中の常中が出来るようになるための練習をした。
がむしゃらに鍛えまくった。きつかったが、いつも光希が楽しそうに鍛練するから炭治郎も随分助けられた。
数日後、「多分いけますよ」と言われて渡された大きな瓢箪に光希が息を吹き込むと、瓢箪は見事に破裂した。
「よっしゃ!」と笑う光希に、三人娘はまた歓声をあげる。炭治郎も喜んだ。
炭治郎も頑張った。スタートが光希より遅れていた分、倍の努力で鍛え上げていった。
みるみる基礎体力を上げ、光希から遅れること一週間で瓢箪を割る。
皆で喜び合い、炭治郎はカナヲに挑む。鬼ごっこ、薬湯、共に勝ってみせた。
「よぉぉぉっしゃぁ!!!」
光希は自分のときより喜んだ。
「やっと光希に追いついた」
「いやいや、甘いな。この一週間で俺も更に鍛練してっからな」
そう言って笑い合う二人の間には、まるで戦友のような絆が見えた。
―――…やばい、これは、いろいろやばい
焦りを滲ませた善逸と伊之助が、ようやく練習場に現れた。
炭治郎の酷い教え方で一時絶望した二人だったが、しのぶと光希に助けられて、無事に全集中・常中が出来るようになった。
「やりゃあ出来るんだよ。もっと早く来いよ馬鹿」
光希はそう言って喜んだ。