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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第43章 覚悟 2


「どうやって行くの?」
「俺に捕まれ」
「ん?」
「抱きかかえたいんだが、俺は片手なの。だから、ほれ、お前がしがみついて」
「こうか?」

躊躇いもなく、体をかがめた宇髄の首に両手で抱きつく光希。

「……そうそう。よっ」

そのまま右手を光希の膝下に入れて持ち上げる。左手は背中を支える。


「おおっ!」
「軽っ!なんだこれ!お前飯食わねえからな……」
「はは、地面が遠い!凄いな!」

耳元で光希の喜ぶ声が聞こえる。


「飛ばすからな、しっかり捕まってろよ」
「うん!」

そう言うと宇髄は走り出す。
その速度に驚き、光希は思わずぎゅっとしがみつく。

「ひえぇ……速っ!」
「落ちんなよ!」

宇髄も抱きかかえる手に力を込める。


……これが、柱。凄えな。なんつー速さだ

光希は宇髄の腕の中で驚く。


……こいつ、小さ過ぎ。猫みてえ

宇髄は軽すぎて落としてしまいそうな光希に、口元を緩めた。


屋敷が近付くと、首に絡む光希の手にぐっと力が入る。


「大丈夫だ」
「うん……」
「お前の立場が変わったくらいでどうかなるようなら、それだけの男だったってことだろ」
「……そうだね」
「まあ、初めはあいつも戸惑うかもしれねえけどな」
「うん」
「お前も……辛いな」
「はぁ……本当だよ。恋愛くらい普通にさせてくれっての」


少し速さを緩める宇髄。

「天元さん、ありがとね」
「……何に対してなのか、候補がありすぎてわかんねえわ」
「ははは、ぜーんぶ。大人は凄えな」
「俺が凄えんだ。いい男だろ」
「うん、あんた凄えわ」


とりあえず、宇髄は蝶屋敷の屋根にふわりと着地する。

下を見ると、禰豆子が日の下を歩いている。
その姿に目を見開く光希。

宇髄の腕から下り、屋根の上から様子を見る。

「禰豆子……喋ってる。凄え……」

隠から報告は受けていたが、実際に自分の目で見ると驚きと感動が大きい。自分が不在の間に、こちらも急展開していたと実感する。

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