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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第42章 覚悟


「まあ……、今日は疲れただろうな」

宇髄は片手でそっと光希を抱え起こし、布団に下ろしてやる。

光希は完全に寝ている。


「おいおい……いくらなんでも派手に無防備すぎるだろ。軍師のくせに、無策だな」

宇髄は呆れたように光希の寝顔を覗き込む。
光希は身じろぎして、猫のようにきゅっと丸まる。小さく開かれた口から、寝息が聞こえる。


……なるほどな。まるっきり子どもじゃねえか。手を出す気にならねえわ。これがお前の策かよ


「……配置を…水と、…風で…」

光希が小さく呟く。


「おい……、一人で脳内軍議してんじゃねえよ。頭休めろ。明日、俺が一緒にやってやるから」

宇髄は優しく光希の頭を撫でる。


「勝つん、だ……絶対に……」

「……ああ、勝とうな」


宇髄は布団をかけてやる。
光希は、勝つんだとぶつぶつと繰り返しながら寝ている。


宇髄は布団から離れて壁に持たれる。
そっと目を閉じて、眠りにつく。



翌朝、光希は目を覚ます。


「お目覚めですか?軍師様」

その声に脳が覚醒する。
布団から飛び出してばっと振り向いて身構える。


「え?宇髄さ……天元さん?」
「なに、どした?」
「何でこの部屋に……」
「ああ?お前が寝ちまったから、ここで寝てた」
「お、同じ部屋は駄目だろ!」
「は?そんな命令受けてねえし」

光希は頭を抱える。


「駄目だ。同じ部屋で寝るのは駄目」
「警備だよ」
「不要だ」
「必要だ。お前は今やお館様の次に位置する人間だ。幸い、近くに人が居ても爆睡できるみたいだしな」
「……駄目だ。自分の身くらい自分で守れる。そんなに弱くない」


「なんでそこまで拒む。別になんもしねえよ」
「……あんたの嫁に申し訳がたたない。あいつにも」
「俺の嫁なら気にすんな。承知してる」
「承知してんのと、嫌な気持ちになるのは別だ。俺はあの人たち好きだから……嫌な気持ちにさせたくない」

光希は眉をひそめる。


「それに、あんたもちゃんと寝てくれ」
「俺はどのみち熟睡はできねえ」
「なら熟睡じゃなくても休んでくれ。とにかく、同じ部屋は駄目だ」


バツの悪そうな顔をしてそっぽをむく少女を見て、宇髄が笑った。

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