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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第42章 覚悟


「ねえ、天元さん」
「あ?」
「俺が思考を止めたり怖じ気づいたら、ぶん殴ってね。たぶん、あんたにしか頼めない」

「俺は殴らねえ」
「……なんでだよ。俺が女だから?」
「そうだ。だから、お前が危ないときは、口付けして引き戻してやるよ。さっきの続きだな」
「……出来ないくせに」
「はあ?やったるわ!大人舐めんな、この糞ガキが!腰砕けにされたくなかったら、しゃっきりしとけ!」


「あー、俺、多分そん時心労で吐きまくってると思うけど大丈夫?ゲロまみれの唇でよければどーぞ」
「女がゲロとか言うんじゃねー!」

「……吐瀉物?」
「そういうこっちゃねえよ!」


「あはは、……やっぱり天元さん、頭いい。楽だわ。本当」
「ふん」

信頼関係を築くにあたって、楽しい雰囲気は欠かせない。説明をせずとも瞬時にそれを理解して実践してくれる頭の良さ。


「……こりゃ、三日も要らねえか」
「かもな」

「将棋すんのが楽しみだ」
「お前、将棋やんのか」
「うん。後で相手してよ。天元さんはかなり強いとみた。将棋盤あるかな」
「あるぜ?派手に泣かしてやるぜ」
「俺に向かってくる大人は、だいたいそれ言って泣きべそかくよ」

二人で笑いながら話していると、悲鳴嶼が戻ってきた。


「光希、許可が出た。付いてこい。短時間だぞ」
「ありがとうございます。我儘言ってすみません」
「いや、当然のことだ。こちらこそ、気が回らずに済まない」
「とんでもない。お手数おかけしました」
「いくぞ」

「はい。天元さんも来て」
「俺も?」
「副司令官でしょ。あ、悲鳴嶼さん、天元さんに副司令官をお願いしました」
「お前が決めたことなら異論はない」

三人は産屋敷輝哉が寝ている部屋の前に行く。


「お館様、失礼いたします」


悲鳴嶼が声をかけて、戸を開く。

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