第2章 もしかしてお前は…
善逸と別れた後、初の一人任務をこなした光希。一人で任務遂行できたことは嬉しく、また大きな自信となった。
しかし、問題が一つ。
今回の敵は一体のみだったので、さほど大変な任務ではなかったが、襲われていた女性を守りながらの戦闘だったため、かなり疲労した。
そして………
―――ちっ、左手、捻ったか
任務を終えて歩いている光希は、左手首を押さえる。女性を庇った際、鬼の攻撃を流しそこねて負傷した。
本当は助けた女性の家に一泊すれば手当ができたのだろうが、明らかに己に向けて好意を放つ女性に、光希はその提案を丁重に断った。
泊まるとめんどくさいことになりそうだったからだ。
さて、今日はどこに泊まろうかな…と思いながら歩いていると、鴉が「次の場所に向かえ!」と指令を持ってきた。
「え!まじかっ!俺、入隊してからずっと戦いっぱなしなんですけど!」
「いいから行くぞ!」
「いやいや、ちょい待って!鬼殺隊って休みないのかよっ!」
「ない、こともない!が、今は次の仕事をしろ!」
「命がいくつあっても足らないな、これは」
「いいから、行くぞ!我妻善逸が戦闘中だ!救助に行く」
「っ!!早く案内してくれ!」
光希は走り出した。
手首の痛みと体の疲れが一瞬のうちに消えた。
鴉に連れられた先は一軒の屋敷。
確かに中から善逸の気配がする。
あと、他に何人かいる?合同任務中か……?
周囲を警戒しながら屋敷に入る。
突然、鼓の音がして周りの景色が変わる。
「なんだ、どういうことだ?」
訳がわからずにキョロキョロすると、廊下の先の部屋から、ドン!という大きな音がした。
鬼の気配と人の気配。あきらかに誰かが闘っている。
光希は扉を開けて部屋に飛び込んだ。
緑色の市松模様の羽織をきた少年が、鬼と戦っていた。少年は負傷しているのか、劣勢の様子。
「加勢する!」
「ありがとう!鼓を打つと部屋が回転する!爪の攻撃も気をつけろ!」
二人は鬼の攻撃を躱しつつ、情報を共有する。
二対一になったことで攻撃が分散され、少年も少し動きに余裕が出てきたようだ。