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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第42章 覚悟


あと僅かで光希の唇と宇髄の唇とが触れ合うという時。

「わかったよ!もう、やってやるよ!」

宇髄がべりっと光希を引き剥がす。


「ありがとうございます。よろしくお願いします」

にこりと笑う光希。
安堵する、といった感じもない。


「わかってたのか、こうなる事」
「ええ」
「作戦としては派手に失敗だろ」
「? 成功したと思いますが」
「普通の男だったら、やられてんぞ」
「普通の男にはそもそもしません。案外真面目で奥様にしっかりと操を立てているあなただから使いました」

えへへ、と光希が笑う。


「俺も、案外真面目なんでね。危険なことはしません」
「真面目な奴が使う策かよ」
「結果が全てです」
「……善逸も大変だな」
「しー。名前出しちゃ駄目」

悪戯っぽく口の前に指を立てる少女に、密かに宇髄の胸が高鳴る。


「さて、副司令官の了承を得たので……、俺はあなたと信頼関係を築きたい。目指すところは老夫婦」
「はあ?」
「なんつーか……少しのやりとりで伝わる、何考えてるかなんとなくわかる、みたいな。……そこに行きたい。
多分最終戦は、俺たちは司令塔として残るでしょう。皆は戦場に行ってしまいます。二人で協力しなきゃならない」

「だから、信頼関係か」
「はい。本来は何ヶ月もかけて構築するものですが……三日でいきたい」

光希は指を三本立てて、ビシッと宇髄の前に突きつける。

「三日?!」
「ここから三日間、風呂と厠と睡眠以外は常に俺と過ごしてください。あ、敬語もなくしちゃいますね、失礼します」
「三日でいけるのか」
「俺とあんたなら、いける」


宇髄は驚く。



「……お前、脳みそ派手にぶっとんでんな」
「時間がないからな。強攻策だ。寂しかったら、まきをさん達呼んでもいいよ」
「いや、俺はお前に集中するぜ」
「ま、そこはあんたに任せるよ。とにかく、話しをするんだ。ささいなこと、他愛もない話、何でもいい。文句でも不満でもいい。喧嘩になったっていいんだ。三日間、喉が枯れるくらい話すぞ」
「いいぜ。派手にやってやるよ!」


宇髄が、策に乗ってくれたので光希はホッとした。

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