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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第42章 覚悟


部屋に宇髄と二人で残る。

「ふぅ……」
「お疲れさん」
「疲れますね、本当に。もう辞めたい」
「早えよ!」

「あはは、宇髄さんが居てくれてよかったです」
「なんだ?愛の告白か?」
「かもね……あなたと居ると楽です。ある意味、慣れてる義勇さんといるより楽かもしれません」
「冨岡は喋んねえからな」

「宇髄さん、途中で俺が死んだら後をお願いしますね」
「いや、俺はお前を守って死ぬから、それは引き受けられねえな。嫁を泣かせてでも、お前を守る」
「うわぁ、殺し文句」
「惚れたか?」
「惚れたらどうします?」
「そうだな……、お前をさらって、どこかへ逃げるかな」

宇髄は遠い目をする。


「俺は川が苦手だから、川沿いは嫌だな」
「へえ。弱点教えてくれるの」
「雷も嫌いだから、山奥も嫌だな」
「そうなのか。可愛いところあんのな。そんならどこへ逃げたらいいんだよ」


「愛する人の、腕の中……かな。一番の安全地帯だ」

顔に疲れを浮かべながら光希がそう言った。


「本当にどうした、お前。思いの外、弱ってんな」
「別に。俺はもう、そこしか逃げ場がない」

「炭治郎、善逸、猪、冨岡、誰の腕の中だ」
「あれ?あなたが抜けてますよ?あなたの大きさがあれば、片手でも女を抱きしめるのは余裕でしょ」
「俺は大本命だからな。不死川もありか?」
「ありあり。さあ、選び放題だ」
「ま、……決まってんだろ?あいつに」
「へへへ」

「案外、俺を信頼してくれてんだな」
「そりゃあもう。こういう話出来るの、柱の中で宇髄さんだけですから。だから、あなたの名前を出した。副司令官になってください」
「構わねえが……ただじゃできねえな」

「何をご希望ですか?」
「お前からの……口付け」

宇髄がにやりと笑う。
すると光希もクスッと笑う。

「なんだ。そんなんでいいんですか?」
「いいのかよ。怒るぞあいつ」
「必要投資なら俺は迷わない。俺にはあなたが必要だから」

そう言って光希は宇髄に近寄る。

「お、おい……」
「副司令官になってくれますね?」


宇髄の両肩に手を置いて、ゆっくりと顔を近付ける。良い匂いが宇髄の嗅覚をくすぐる。

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