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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第42章 覚悟


「師範……」

光希は驚いて刀を見つめる。
走っているうちに肩紐が緩んだのだろうか。


「ん?刀が落ちたのか?」
「はい。桑島慈悟郎様からお借りしてきた、師範の刀です」
「桑島法子の刀か……」

光希は、目の見えない悲鳴嶼に説明をする。


「ハァ?何だァ?テメェ、そんなもん持ってきて、引き受ける気満々なんじゃねえかよォ」
「満々じゃねーですよ!やりたくない気持ちがてんこ盛りですよ!でも、そん中でどうやったらやる気になれるか、俺なりに一生懸命考えたんですよ!どうせ断れないだろうからね!ふんっ!」
「おい、急に何だァ?悲鳴嶼さんと俺とで態度違い過ぎんだろがァ!」
「はいはい、すみませんねぇ!」

不死川はぷんすかしている。
いつの間にこんなに仲良くなったのかと、義勇は驚く。


「……悲鳴嶼さん。俺が指揮を取るのは、最終局面になってからですよね。それまであと少し…鬼が動き出すまでの間、自由にさせてもらっていいですか?」
「ああ。好きにしろ。そもそもお前が総司令官になれば、私たちよりも立場が上になる。私たちも、お前からの命令は絶対だ」
「そうですか……」


「引き受けて、くれるな」

悲鳴嶼が最終意思確認をする。


光希は桑島の刀を膝の上に、置く。

――ああ、重い……重いなあ……


柱たちからの視線を感じる。

―――あなたも、この重責を背負ったのですね。師範


刀を持つ手に力を込める。

―――でもあなたの側にはきっと慈悟郎様が付いてくれていたのですよね。いいなあ……。善逸はまだ、ここには居ない……でも……


「謹んで、お引き受けいたします」


光希は悲鳴嶼に向かって頭を下げた。




すると全員の柱が、悲鳴嶼と共にばっと光希に向かって頭を下げる。


「総司令官、如月光希殿。どうか、鬼殺隊をお導きください」

「……心得た」



―――ここに善逸はいない。だから……貴女が付いて俺を支えてください。……師範


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