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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第42章 覚悟


鴉に付いて、光希は走る。
酒が抜けていることにほっとする。


……危ねえ、二日酔いで面会とか洒落にならなくなるところだった。少しにしといてよかった

冷汗を流しながら走る。



着いた先で出迎えたのは悲鳴嶼だった。


「急に呼び出して悪かった、光希。久しいな」
「お久しぶりです、悲鳴嶼さん。それだけ、お館様のお身体が悪いということですか……」
「ならば、お前のするべき事はわかるだろう」
「…………」
「覚悟する時間はあったはずだ」
「……はい」

「決戦が近い。お前に、総司令官の任を与える。桑島の弟子、如月光希」
「…………」



「冨岡ァ。ボケっとしてねえでテメェからも何か言えやァ」
「実弥さん」
「テメェの言う事ならこいつは聞くだろがァ」
「聞かない。言い聞かせられるならとっくにしてる」
「くそっ……使えねぇなぁ」
「義勇さん……。ちょっと、実弥さん、使えないとか言わないでください」


悲鳴嶼の後ろの戸から、柱たちが出てくる。
柱合会議をしていたようだ。


「光希、お前しかいない。やるんだ」
「悲鳴嶼さん……、以前も申し上げましたが、俺は、人を…大切な仲間を殺すことが出来ません。だから指揮官には……、」



「それは言い訳では?」
「胡蝶さん」
「まだまだ思考が足らないのですよ。もっと考えれば大切な人を助ける策があるはずです」

しのぶがにっこりと笑いかける。


宇随が光希の隣にどかっと座る。

「宇随さん、ご無沙汰してます」
「お前の進言のせいで、俺もひっぱりだされてんの。わかる?最悪だぜ」
「すみません」
「俺も一緒に、やるからよ。お前もやれや。相談には乗るからよ。派手にやろうぜ!」
「じゃあ、宇随さんが上で、俺が下ね」
「そういうこっちゃねえんだよ!」


悲鳴嶼は静かな声でいう。


「今すぐでなくていい。最終戦のみだ。皆、そこで命をかけて戦う。そこでお前は命をかけて指揮をとれ。場所と立場が違うだけで、命をかけるのは皆同じだ。私も、お前も、お前の仲間たちも。違うか」

「違い……ません。でも俺は同じ場所で戦いたいんだ。皆と一緒に、刀を振って」


光希がそう言って俯いた時、肩紐が外れ、刀が背中から滑り落ちた。


ガシャ、と音がする。

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