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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第41章 じいちゃん


翌朝、一番に目を覚ました光希は、井戸で顔を洗い朝餉の準備をする。

食材を見て献立を決め、手速く作っていく。


半分くらい出来たとき、慈悟郎が起きてきた。


「おはよう、光希。早いな」
「おはようございます、慈悟郎様。食材、いくつか使わせていただいております」
「構わん。かたじけない」
「味の保証は出来ませんが」

「食べたら帰るのか」
「はい」
「そうか……」
「また来ますよ」
「……うむ。昨日は、良い夜を過ごせた」
「我々もです」

光希は嬉しそうに味噌汁をかき混ぜる。


「法子の刀……、持っていくか」
「! しかし、あれは師範の遺品……」
「ここに置いていても、朽ちていくだけじゃ。昨日、久し振りに抜いてみたが、サビも刃こぼれもしておらぬ。柱用の刀だから、良い刀じゃ」
「刀が無くなったら、寂しくなりますよ?」
「……なあに、大丈夫じゃよ。儂には思い出がある。それに、昨夜お主に解読してもらった遺書もあるしな……」


光希は昨夜、遺書に暗号が隠されていたことを慈悟郎に話した。もしやと思って慈悟郎が自分宛の遺書を見せると、そこにもやはり暗号が記されていた。

明らかに難易度の低い暗号。
光希はその場で瞬時に解いてみせた。


読み解くと、

『いつまでも待っておりますので、急がずにごゆるりとお越しください』

と書かれていた。

法子なりの愛の言葉、なのだろう。



「お主に見てもらわなんだら、気付かんかったわい」
「お役に立てて良かったです。遺書を拝見するのは躊躇いがありましたが……」
「儂が頼んだのじゃ。気にするな」

慈悟郎は、光希にくるりと背を向ける。


「さて、寝ぼすけな孫を叩き起こしてくるかの」
「はい。お願いします」


そう言うと、慈悟郎は台所を出ていった。



朝餉が出来上がり、とりあえず火から下ろす。

そこへ善逸がやってくる。


「おはよお、光希。……眠い」
「おはよう。二日酔い、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」


善逸と二人で客間に運び、朝餉を食べる。
片付けをすると、彼らは出発の準備をする。


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