第41章 じいちゃん
「おやすみなさい」
「おやすみ、光希」
光希は箪笥から善逸の着物を一枚出し、布団のように身体にかける。頭の下に、丸めた自分の羽織りを入れる。
善逸の匂いに包まれる。お酒も手伝って、心地良い感じに直ぐに夢の世界に旅立った。
慈悟郎は、善逸が寝ている布団に入る。
「善逸、大きくなったな……布団が狭く感じるのう……」
愛弟子の頭を撫でる。起こさないように優しく、そっと。声が聞こえているのか、善逸が嬉しそうに笑う。
「いや……でも、まだ子どもじゃな……」
あどけない寝顔を見せて眠る善逸に、慈悟郎も口元を緩ませる。
「出来が悪い子程可愛いというのは本当だな。儂はお前が可愛くて仕方ない」
「儂は……、近く、お前を遺して逝くことになるかもしれぬ」
「まだ、解らぬし、……信じたくはないが」
「会えてよかった。善逸」
「……強く、生きよ」
慈悟郎は善逸に静かに語りかけた。
善逸はうっすらと笑顔を浮かべたまま、呟く。
「……うーん…、ふふっ、おっぱい…」
「………この馬鹿者」
慈悟郎は溜息をついた。
「光希に迷惑をかけるのう……」
慈悟郎も、久し振りの布団の暖かさに、眠りに落ちていった。
善逸は、慈悟郎に甘えるようにくっついて眠った。