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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第5章 蝶屋敷 1


「は?」

予想外の人物からこれまた予想のはるか上をいく提案が飛び出して光希は目を丸くする。

「ななな何言ってんだ炭治郎!え?お前本当に炭治郎か?鍛錬のしすぎで頭おかしくなったんじゃねぇの?そうじゃないならとんでもねぇ炭治郎だ!!」

ぶったまげた善逸が、髪を逆立てて騒ぐ。

「どう?光希」
「どうって……」
「だから、光希の唇をかけてもう一戦。俺と光希で。俺が勝ったら口付けしてよ」
「いや、それだと褒美にならないだろう。どっちかっつったら罰だろ?」

気にするところはそこじゃねえ!と善逸は全力で心の中でつっこんだ。

「そんなことはない、ちゃんと褒美だ」
「俺が勝ったら?」
「光希は善逸に口付けする」
「なっ!何言ってんだ炭治郎てめぇ!」
「……それ、俺は何を励みに頑張ればいいわけ?」
「あ、確かに」
「まぁいいや。俺が勝ったらなんにもなし。炭治郎が勝ったら口付けすればいいんだな」
「え、それでいいのか?」
「別に、いいよ?」

あっさり承諾する光希。
負ける訳ない、と思ってるようにも見えない。何も考えてないのか、こいつ……

「善逸も、いいか?」

試すような目で善逸を見る炭治郎。止めるなら今だぞという声だ。

「光希が、いいってんなら文句はねぇよ」 
「ん?だから俺は構わないって」
「いや、構えよ!負けたら炭治郎に口付けすんだぞ!わかってんのか」
「おう」
「……いいのかよ」
「ああ」
「そうかよ。好きにしろ」

互いに集中を深める。
ひゅうぅぅ、ふぅぅぅと呼吸が響く。

「炭治郎、二連戦はきついだろう。でも少しでも長く集中しろよ。俺は今回、嘘の目線は使わない。安心して付いてこい」
「おう」

この状況で敵に塩を送る馬鹿がどこにいるってんだ。
善逸は苛つく。こいつ、負けたいのか?口付けしたいのか?ふざけんなよっ!

「用意、始めっ!」

半ばやけくそで善逸が叫ぶと、光希と炭治郎の戦いが始まった。


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