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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第5章 蝶屋敷 1


二人の攻防が始まる。

さっきの善逸の速さよりかは、僅かに緩やかだ。
付いて行ける!炭治郎はそう思って必死に食らいつく。

……これは、長期戦になるかもな。集中の切れたほうが負ける。炭治郎、一気にコツを掴んだな。判断を間違えたらすぐに持っていかれるぞ、光希!

善逸も固唾を飲んで身守る。

二人とも予測で動く作戦を使っている。読み合戦だ。
光希は嘘はつかないと宣言したので、それを信じて僅かに動く目線を判断材料にする。

だが、急に勝負が付いた。
光希の左手が、急に加速し、炭治郎の手をするっと抜けた。
一瞬のことで、善逸にもよくわからなかった。

「えっ」
「はい、ばしゃーん」

にこりと笑う。

「嘘だろ。何で……」
「忘れてただろ。俺の利き手はどっちでしょう」

そこではっとする二人。

「切り札は、ここぞって時まで取っとくものです」


さっきまで善逸と戦っていた炭治郎。ここ数日ずっと戦ってるアオイも右利きである。光希と戦うにあたって、もっと左手に注意しなきゃいけなかったのだ。
そして、今までの戦いで一切それを見せなかった光希。今回、賭けがなければ、この先も見せなかったかもしれない。全て計算された、見事な一勝である。


……こいつ、怖っ

善逸は口付け回避の安堵と共に、光希の恐ろしさを思った。


「くそー。忘れてた」
「残念でした」
「でも、いろいろわかったありがとう。善逸も。明日は勝てそうだ」
「楽しみだな!俺も、カナヲに勝つ!」

「さて、俺は走ってくる」
机を片付けると、炭治郎がそう言った。

「うん。頑張れ」
光希は炭治郎を見送る。


「いいなぁ、俺も走りにいきたいなぁ」
走り去る炭治郎を見て羨ましそうに呟く。


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