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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第5章 蝶屋敷 1


二人の攻防は長く続いた。
しかし、疲れを見せた善逸が一瞬呼吸を乱す。

その隙を見逃さず、光希の湯呑が善逸の手を抜ける。

「よっしゃ!」

光希が笑顔で湯呑をかかげる。
軽く息があがっている。

「はぁ、はぁ、くそー、油断した」
「ふー…、ほら、息が続かないだろ。カナヲはもっと体力あるぞ。俺に負けてちゃ勝てねぇよ」

「くっそー!やるぞ、炭治郎!座れ!」
「よし!今の見て俺もちょっと分かったから」

光希は炭治郎に場所を譲る。


「よし。いいか、全集中だ、炭治郎」
炭治郎は頷いて、呼吸を使って集中力を高める。

「行くぞ!用意、始め!」

炭治郎と善逸が勝負を始める。明らかに速さは善逸が上だが、しっかり集中している炭治郎はなんとか付いていく。アオイとの鍛練のときより格段に動きが良い。

二連戦で疲れている善逸はだんだんとキツくなってきた。

「粘れ、炭治郎、まだまだ集中切らすな!行けるぞ!!」

炭治郎を応援する光希に、イラッとする善逸。
疲れてはいるが、呼吸を使ってスピードを上げる。

炭治郎も負けじとそのスピードにギリギリで付いていく。先を読め、動きを考えろ…

この戦いも長く続いた。
こんなに長くなるとは光希も善逸も予想外だった。

そして、善逸の嘘の目線に引っかかった炭治郎は善逸に湯呑を取られた。

「ぷはぁっ、はぁ、はぁ、はぁ…勝ったぁ……」
善逸はひっくり返った。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、くそー、騙された」
炭治郎も机に倒れ込む。

「凄い!凄いよ炭治郎!惜しかった!」
「はは。ありがとう。でも、善逸は速いな」

机に伏せたまま、へらりと炭治郎が笑う。

「こいつが速いのは当たり前だから。よくあの速さに付いてったなぁ。これならアオイさんには勝てる。明日が楽しみだな」

炭治郎ばかり褒める光希に、ひっくり返りながら憮然としている善逸。

すると、「流石の速さだったな」と笑って善逸を上から覗き込む光希。

「さっきより呼吸も続いたしな。二戦目だったのに」
「さっきは油断しただけだ」
「そうか。何か賭ければよかったのかな」
「は?」
「そしたらやる気出るもんな」

「乗った」

炭治郎がむくりと起き上がる。

「俺が勝ったら口付けして、光希」


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