第41章 じいちゃん

「慈悟郎様、こいつの布団はありますか？」
「いや、ずっと干しとらんからの……儂の布団で共に寝るとするか」
「かしこまりました。押入れの中ですか？開けさせていただきますね」

「光希、俺が……」
「俺に近付くな。またぶん投げられてえのか」
「ひっ……」

光希は押入れから布団を引きずり出して、部屋に敷く。


「ほら、善逸。寝させてもらえ。真ん中で寝るんじゃねえぞ」

善逸はおずおずと布団にあがる。


「光希……怒ってる」
「ああ。怒ってるよ」
「じいちゃぁん……」
「お前が悪い」
「ううっ……ごめんってば……」

「はあ……、もういいから、寝ろ。この酔っ払い」
「うん……、じいちゃんは？」
「後から来る。先に寝ておれ」
「うん……」

「おやすみ、善逸」
「しっかり休め」
「おやすみ、光希……。じいちゃん早く来て…ね……」

そのまま善逸は眠りについた。


「じいちゃんの……匂いがする…」


寝ながら微笑む善逸を、慈悟郎は優しい目で見つめる。



「今日、ここにこやつを連れてきてくれたのはお主じゃな」
「はい」
「心から、感謝する」
「……どういたしまして」


慈悟郎と光希は客間に戻り、酒宴の片付けをする。



「お主の布団をどうしたものか……埃っぽくて良ければあるのだが」
「善逸の着物を引っ張り出して、それにくるまって寝るので大丈夫ですよ。ご心配なく」
「すまんな」
「とんでもない。突然押し掛けた我々が悪いのです」


光希と慈悟郎は部屋の前で分かれる。