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雷鳴に耳を傾けて【鬼滅の刃】我妻善逸

第41章 じいちゃん


光希は、キン……と音をたてて納刀する。


「完敗です」

「何がじゃ」
「……おそらく師範は、刀の色も予測していたのではないでしょうか。刀の色と拵(こしらえ)の色が合いすぎです」
「確かにそうじゃな」

「実は俺と善逸も刀身の色を賭けてまして」
「ちょ、こら!なんで言うの!絶対怒られるじゃん!」
「あはは」
「大事な刀で賭け事をするとは、お主ら……」

「ごめんなさい。でも、どっちも違ったな」
「ああ。俺は前と同じ青色、光希は桃色っつってたもんな」
「桃色?何故桃色だと思った」
「水色の補色だからです」
「なるほど、逆転させたのか……」

「はい。でも、違った。これは逆転じゃなかった。俺の色を深く掘り下げた色が出た」
「お前、剣術に関しては真面目だからな」
「その真面目な剣術が逆転の呼吸なんだけどな」
「……わけわからん」
「俺もだ。我ながらわけわからん」


「お主ら、何を賭けたんじゃ」

「鯛焼きです」
「鯛焼き……」

慈悟郎はポカンとする。


「近くの街に美味しい鯛焼き屋さんがあるんだけどさ、めちゃめちゃ人気で、並ばなきゃ買えねえんだよ。そこの鯛焼き。ちぇ、食いそこねた」
「読み間違えた。くそ……、絶対善逸に買わせてやろうと思ったのにな」


鯛焼きを食べそこねたと、拗ねる子どもたち。
慈悟郎は、そのあどけなさに吹き出す。


「くくっ。なら、戦いが終わったら、その鯛焼きを買って持ってこい。法子に供えろ」
「あはは、そうします」
「必ず、持ってこい。二人でな」
「はい。……必ず」
「じいちゃんの分も買ってくるから、一緒に食べようね」
「ああ」


慈悟郎と三人で笑った。

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